山口県周南市の徳山工業高等専門学校で女子生徒(20)が殺された事件で、被疑者の男子生徒(19)の遺体が発見された。
報道を見ると、結果的には殺害後すぐに自殺したらしいので、言ってもしょうがないのかもしれないが、今回の山口県警の捜査には疑問がある。
山口県警の言い分で気になったのは、氏名や身体の特徴、服装などを公表しなかった点について、「少年法の観点から、発表した内容(「周南市内に住む少年(19歳))以上のことは明らかに出来な」いというところだ。
少年法第61条には、「家庭裁判所の審判に付された少年または少年のとき犯した罪により公訴を提起されたものについては、氏名、年齢、職業、住居、要望等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事または写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」と書いてある。少年の更生のために情報を出すのは慎重であるべきだというのはわかるが、今回の状況は「少年法の観点」と関係ないのではないか。なぜなら、「家庭裁判所の審判に付され」ているわけでもなく、「公訴を提起され」てもいないし、被疑者を捕まえるためには情報を公開するのはやむを得ないと思うからである(あの犯罪報道の匿名化を主張している浅野健一氏だって、「日本新聞協会が決めている」ルールとして、「20歳未満の犯罪者の場合でも、 蔑)∋慳昭蠻枌罎糧反輿楮困剖力する場合、など少年保護よりも(本件は少年保護のためでもあった)社会的利益が強く優先するときには、匿名の除外例を設けている」と紹介している)。
以上はあくまでも私の解釈なので正しいと言うつもりはないが、少年法の趣旨を考えずに情報を公開しなかった山口県警の対応は批判されてもやむを得ないだろう。
参考資料・文献
読売新聞朝刊2006年9月8日号35ページ(東京本社版。仙台では)
浅野健一『犯罪報道の犯罪』(講談社文庫)