清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

危険運転 致死の刑罰 重すぎる?

危険運転致死罪(刑法第208条の2第1項)の導入で飲酒運転が減ったと思ったら(無くなってはいない)、飲酒運転の発覚を恐れたためか、ひき逃げ事件が増加しているという。今日の読売新聞朝刊(東京本社版第13版1頁(仙台では))によると、ひき逃げ事件は2000年には14,050件だったが、昨年は19,660件に増え、その原因の一つは、危険運転致死罪の法定刑が最高20年であるのに対し、業務上過失致死(刑法第211条第1項。最高刑5年の懲役)とひき逃げ(最高刑5年の懲役)を併合しても(刑法第47条)最高7年6月の懲役にしかならないところに求められるという。

また、読売テレビ日本テレビ系全国ネットの『ウェークアップ!ぷらす(http://www.ytv.co.jp/wakeup/)』によると、「飲酒運転に対する、日本の刑罰は諸外国に比べ、甘」く、「アメリカでは、飲酒運転による死亡事故で終身刑や懲役45年の判決が言い渡された例もある。罰金刑の場合、日本は今年5月に引き上げられたものの最高で100万円。これに対し、フランスでは、最高で10万ユーロ、日本円でおよそ1500万円(、)ドイツでは、1800万円の罰金が科される場合もある」のだそうだ(もっとも、罰金がいくらでも、日本の場合は常に懲役のほうが重い(刑法第10条))。

と言うわけで、新聞、TV、世論問わず、飲酒運転やひき逃げに対する刑罰強化が求められているように思うが、本当にそれでいいのだろうか。

なぜなら、仝醜坿躙臼薪消彁犧瓩最高懲役20年なのは、傷害致死罪(刑法第205条。平たく言えば、人を傷つける意思を持って人を死なせた場合)の最高刑が懲役20年なのを考慮すればやむを得ないと思う反面、疑問もあるから。と言うのは、傷害致死や逮捕致死(刑法第221条)の場合は、他人を傷つける意思があるが、飲酒運転の場合はそれが無いからである(酒を飲んで運転したからといって即他人を傷つける意思があったと言えますか?)。

△劼逃げの刑の長期を多少引き上げるのは良いとは思う反面、逃げる行為自体の罪を重くするのもどうかと思うから(ひいたから死んだのであって、逃げたから死んだのではないのではないか)。

本当にやらなければならないのは、
ー匆餝愿に飲酒運転がなぜ起こるかの原因を探り、それを除去すること
危険運転致死罪の刑罰と業務上過失致死罪とひき逃げの併合罪の刑罰を可能な限り同じにすること(場合によっては危険運転致死罪の刑罰を軽くすることやむなし。あと、危険運転致死罪に要件の再検討も必要か)or道路交通法を改正して酒気帯び運転等の結果的加重犯の刑罰を重くする
だと思う。

(追記―2006年9月17日記)
ひき逃げ(道路交通法第72条第1項など)の刑罰が懲役10年または100万円以下の罰金になるそうだ。妥当なようだが、まだ逃げ得が解消されていない(業務上過失致死(刑法第211条第1項)と併せても最高15年)。やはり、危険運転致死罪(刑法第208条の2第1項)の刑罰を軽くすることも考慮しなければならないのではないか。ただ、危険運転致死罪が認められれば、ひき逃げをしたとしても、現行で最高25年、改正されると最高30年の懲役になるので(刑法第47条)、本当は逃げ得ではない。

(追記―2006年9月19日記)
今日の読売新聞朝刊(東京本社版第13版35面(仙台では))によると、危険運転致死罪(刑法第208条の2)において、懲役5年以下の判決が6割だという。これでは、何のための危険運転致死罪の創設かと思うが、その一方で、刑法の謙抑主義の建前や、被告人の情状を酌量している可能性があることからすると、悪いとまでいえないかもしれない。このように、法の適用というのはどうしても釈然としないものがあるのです。