まずは読売新聞2019年10月1日社説「消費税10% 社会保障支える重要な財源だ」(*1)をお読みください。
それによると、
新聞は、欧州などで軽減税率の対象となっている。民主主義や活字文化を支える公共財だとの認識が広く定着しているからだ。
日本でも、初めて新聞に軽減税率が適用される。正確な報道と責任ある言論を貫き、国民の知る権利に応えるとともに、豊かな文化の醸成に貢献していく
だって。
今回はたまたま読売新聞の社説を取り上げたが、読売新聞だけではなく、主要マスメディアの報道で、軽減税率を否定的に評価したのを、寡聞にして聞かない。
しかし、軽減税率は、筆者の知る限り、経済学的に効果があるという見解はなく、それどころか否定的評価が通説というか、定説レベルである。
例えば、三木義一『日本の税金』(第3版。岩波新書、2018)p117図3-1だったり、
kiyotaka-since1974.hatenablog.com
で紹介した中田大悟さんのYahoo!ニュースの記事「軽減税率を『税の専門家』たちはどう見ていたのか」 だったり。
ところで、読売新聞2019年10月1日統合版13版2面「『正確な記事 意義大きく』(以下略)」によると、
日本新聞協会は、「インターネットを通じて、不確かでゆがめられたフェイクニュースが拡散し、世論に影響を与える中で、「しっかりとした取材に基づく新聞の正確な記事と責任ある論評の意義は一段と大きくなっている」と指摘した
とある。なお、日本新聞協会「消費税軽減税率の適用にあたって 」(2019年10月1日)も参照。https://www.pressnet.or.jp/news/20191001.pdf
しかし、軽減税率について否定的に評価しないことがまさに「フェイクニュース」であろう。
したがって、軽減税率自体の廃止も検討すべきだが(レジに費用がかかるなどで廃業したお店もあるらしい。そういうお店にとっては遅すぎるだろうが)、まずは新聞に対する軽減税率の適用をやめるべきだろう。
なお、軽減税率がなぜいけないのか。それは、低所得者のみならず、高所得者にも適用されるから、逆進性が強いとされる消費税の欠点を克服する効果がないからである。この程度の理解もできない人が新聞記事を書いているのだから、新聞記事は疑うべきだろうなぁ。