清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

韓国の 言い分通すと 死んじゃうの?

紙の読売新聞2019年11月7日統合版「論点スペシャル 五輪 旭日旗禁止要求を考える」を読んだ。

 

こういうのって、多角的な視点で編集されるものと思っていた。すなわち、旭日旗禁止要求は不当だ!という説と、正当だ!という説と。

 

しかし、木村幹、奥園秀樹、ハ・ジョンムン(原文は漢字だが、変換の都合でカタカナ表記にした)各氏の見解に、韓国の主張が妥当であるという趣旨の内容は、筆者の読んだ限りでは皆無であった。こういうのを「偏向」というのだが。

 

以下、3氏の見解をざっと検討する。

 

まず木村幹さん。

 

日韓関係は韓国政府がガバナンス(統制)を放棄した状況だ。文在寅(この部分は変換の都合で漢字表記。ムンジェイン。筆者補足)は反日的な国内世論を抑え込む気はない 

 とあるけど、「世論を抑え込む」って政治家の仕事なの?仮にそうだと、安倍晋三さんはなぜ日韓関係悪化を是とする世論を抑えようとしていないのだろう?韓国大統領にのみそんな特殊な仕事があるわけねぇだろ。

 

一方、

韓国国内では、安倍政権は「韓国との関係なんてどうでもよいと思っている」ように受け止められ 

 と述べるが、安倍政権の理不尽さは韓国国内にいなくても十分わかるって(苦笑)。例えば、被害者が加害者に賠償を求めることってそんなにおかしいのか?

 

旭日旗の使用で日本が右傾化するわけでもないし、韓国に脅威を与えるわけでもない 

 って、(かんちゃん、なんちゃい?)と思ってしまった。旭日旗が使われた新大久保のデモなどの時に、生まれていなかったんだろうなぁ(嘲笑)。

 

次に奥薗秀樹さん。

 

背景には、日韓の力関係の変化がある 

 というのは、何号かは失念したが、佐藤優(まさる)さんの「知の技法 出世の作法」(『週刊東洋経済』)に書かれていた記憶がある。日本の新聞やインターネットのニュースを見ると韓国が力をつけた感じはしないけどね(日本の読者が「日本が優位だ!」という情報を求めている印象)。

 

韓国は昨年主催した国際観艦式で、海上自衛隊護衛艦自衛艦旗旭日旗)を掲げないように求めた。1998年と2008年に行った際には問題視することはなかった 。

 だからどうしたの?(後述。ハ・ジョンムンさんのコメントの検討のところで分かる)

 

ナチスドイツのハーケンクロイツ (カギ十字)と同列で批判している。日本から見れば、そうした韓国の態度は、旭日旗を「対日カード」の一つとして利用しているように見え、不信感を持つのは当然だ。

 いや、「『対日カード』の一つとして利用しているように見え、不信感を持つのは当然だ」と書く人に不信感を持つけど。そもそも「『対日カード』」って何? なお、植民地支配に起因する差別があれば「ナチスドイツのハーケンクロイツ (カギ十字)と同列で批判」するのもそれなりにわかるけど(徴用工問題や慰安婦にそういう要素がある。徴用工問題については、外村大『朝鮮人強制連行』(岩波新書)、慰安婦については、金富子/板垣竜太・責任編集『Q&A 朝鮮人慰安婦」と植民地支配責任』(御茶の水書房)をご一読。

 

日本の外務省がホームページで公表している旭日旗の説明の仕方(筆者補足。日本語版は

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000481575.pdf)には、説得力に欠ける面がある。戦前の陸軍や海軍が旭日旗を軍旗として採用していた事実にきちんと触れていない。(略)軍国主義が作り出したわけではないことをきちんと説明すべきだ。

上記引用の「戦前の陸軍~きちんと触れていない」はその通りだし、外務省HPを読んだ限りでは、明文はないものの「軍国主義が作り出したわけではない」という趣旨は読み取れるが、それなら以下の読売新聞の記事も参照すべきだろう。

 

www.yomiuri.co.jp (2019年11月5日21時16分)

によると、

 河野氏(克俊・前防衛省統合幕僚長。筆者補足)によると、1954年の自衛隊発足に伴い、海上自衛隊は艦艇に掲げる新しい旗のデザイン作成を専門家に依頼した。「軍に対するアレルギーはあり、旧海軍の旗をそのまま使うのはまずいのではないか」という議論があったという。ところが、依頼を受けた東京芸術大や画家は「形状、光線の配合など実に素晴らしいもので、これ以上の図案は考えようがない」などとして、デザイン上の理由から旭日旗を推奨。吉田茂首相(当時)も「日本の船であることが一目瞭然で結構だ」と述べ、旭日旗の採用が決まったという

 とのこと。

 

国内でも「『軍に対するアレルギーはあり、旧海軍の旗をそのまま使うのはまずいのではないか』という議論があった」わけだから、植民地支配された韓国の人が旭日旗に対して批判的なのは当然だろう。

 

大会会場での旭日旗の使用禁止は、韓国の主張を認めることになる以上、受け入れられない。 

 って、何?韓国の主張は一切受け入れないの?1954年当時の日本でも「『アレルギー』」があった旗ですぞ。そこまで意地になる理由がわからない。

 

最後にハ・ジョンムンさん。

 

日本の旭日旗軍国主義の象徴であるとのイメージは、以前から少なからず韓国人の間にあった。 

 これは貴重な見解だろう。

 

11年の日韓戦で、韓国選手が猿のまねのパフォーマンスをしたことが問題になった。この選手が、観客席の旭日旗を見たことがパフォーマンスをした理由だと説明したことで旭日旗問題が話題となったが、私自身は「唐突だな」と感じたのを覚えている。

 正直でよろしい。

 

韓国海軍が旭日旗の掲揚を控えるように求め、 これに反発した海上自衛隊が参加を見送った昨年10月の済州島での国際観艦式のように、民間だけでなく国レベルの懸案となってしまっている。日本政府の立場を踏まえて、もう少し落ち着いた議論が必要だろう。

 ハさんは、将基面 貴巳(しょうぎめん たかし)さんが説く愛国者なのだろう(『日本国民のための愛国の教科書』(百万年書房)をご一読)。日本人は上記見解に甘えちゃいけない。韓国・韓国人の立場や気持ちを慮って考えるべきだろう。「大会会場での旭日旗の使用禁止は、韓国の主張を認めることになる以上、受け入れられない。」という奥薗説はペケである。

 

韓国国内では、2020年の東京五輪パラリンピックでの旭日旗の使用禁止を求める動きが強まっているが、五輪は選手や観客を第一に考えるべき祭典だ。韓国側が旭日旗の使用禁止要求を棚上げにする一方、日本側がは五輪後に旭日旗のあり方について韓国側と議論する場を設けるなど、接点を見出す努力が求められる。

 これは、旭日旗が最近問題になって、第三者が何も判断していないならば、正しいだろう。しかし現実には、「17年4月」に「韓国でのサッカー・水原(スウォン)-川崎戦で、川崎のサポーターが旭日旗を掲げ、アジア・サッカー連盟が処分」(読売新聞2019年11月7日統合版12版11面)という参考になる先行事例があるわけだから、旭日旗の持ち込み禁止も十分あり得る。木村幹さんへのインタビューに「政治的宣伝の排除を謳った五輪憲章にのっとり」(オリンピック憲章2019年版(https://www.joc.or.jp/olympism/charter/pdf/olympiccharter2019.pdf )第50条第2項参照)とあるが、奥薗さんのコメント、「在日韓国・朝鮮人の排斥を叫ぶデモの場で使われる旭日旗」という前例があるから、現状では旭日旗の持ち込みが「政治的宣伝」とされる可能性は十分にある(もっとも、サッカーの川崎サポーターの処分の詳細は未調査)。

 

というわけで、現時点での筆者の結論は、旭日旗なんて日本でも韓国でもアレルギーがあるわけだから持ち込み禁止でもいいんじゃないの?ということである。