筆者は、毎年2月1日発行の『月刊みすず』1/2月号「読書アンケート特集」を楽しみにしている。
その2020年版を読んだが、山形浩生さんの回答で気になるところがあったので検討する。
最初は、頭でっかちなエリート左派がくだらないLGBT だの環境だのにばかり目を向け現実離れしたプロパガンダ連呼に堕する中でもはや労働者を代弁しないことが格差を招き、トランプやBrexitを引き起こしたというもっともな議論を展開した好著。(『月刊みすず』2020年1/2月号、p16)
山形さんが書きたいのは、吉松崇『労働者の味方をやめた世界の左派政党』((PHP新書、2019)とはそういう本だということだし、たしかに労働者という多数の利益を無視して少数派だったり労働に不利益が生じかねないことに熱心ということがあれば支持を失うことはあるだろう。
しかし、だからといって、「くだらないLGBTだの環境だの」というのはいかがなものか。
それなら、筆者は異性愛者だが、それもくだらないことになってしまうだろう(LGBTは主に性的指向の問題だから)。しかし、異性愛がくだらないとなれば怒る人は多いだろうし、芸術も成り立たないだろう。
あと、環境が悪くなれば労働どころではないので、それがくだらないわけがない。
というわけで、結論は、山形浩生さんがくだらないということのようである。