今日の記事の事の発端は、産経新聞「<独自>『50歳が14歳と同意性交で捕まるのはおかしい』立民議員が主張」(2021年6月4日17時53分)*1である。
なお、「『〈独自〉』」の根拠は、東京スポーツ「百田尚樹氏 立民"ロリコン議員"に激怒!『誰やねん、名前出せよ!」(2021年6月5日15時33分)*2に、「この問題は産経新聞電子版が4日に報じた」とあり、Googleニュース検索
https://news.google.com/topstories?hl=ja&gl=JP&ceid=JP:ja で筆者が検索したところ、結果は示さないものの日付が古かったことからである。
、産経新聞の記事の信ぴょう性を疑うに至ったうえに(もちろん正確な報道もある)、産経新聞の記事しか確認していないので(本当かな)と思ったものだが、本当であった。各紙報じているが*4、産経新聞の独自スクープに敬意を表して、「立民、性交同意年齢めぐる「50歳が14歳と」発言削除」(2021年6月7日18時52分)を挙げよう。
それでは、性交同意年齢について、「産経新聞「<独自>『50歳が14歳と同意性交で捕まるのはおかしい』立民議員が主張」」などに基づいて検討しよう。
現在の刑法では、本人の同意があっても性行為自体を罪に問うのは13歳未満に限られている。中学生に対する性行為は、多くの都道府県条例で同意があっても処罰対象としているが、地域によっては結婚を前提とした交際関係などがある場合、対象から外している。*5
とのこと。なお、13歳未満の男女に対する性行為について13歳未満の男女本人の同意があっても罰するのは、「判断能力の未熟な青少年を性的に保護する趣旨」*6とのこと。
ところで世界の性交同意年齢はどうか。ハフィントンポスト日本版「性交同意年齢、日本は明治時代から変わっていない。世界では引き上げ進む、韓国でも13歳⇒16歳に」(生田綾。2020年12月13日 19時40分 。更新 2020年12月18日 13時33分)
によると、
《世界各国の性交同意年齢(※)》
16〜18歳 アメリカ
16歳 カナダ、イギリス、スペイン、ロシア、フィンランド、韓国
15歳 フランス、スウェーデン
14歳 ドイツ、イタリア
13歳 日本
とのこと。
筆者調べで、国際法(世界人権宣言含む)はどうかというと、世界人権宣言第16条第(『ポケット六法 令和2年版』(有斐閣)において編集者がつけた見出しは、「【婚姻と家族の権利】」)第1項には「成年の男女は(略)婚姻し、かつ家庭を作る権利を有する」とあり、市民的及び政治的権利に関する国際規約第23条(『ポケット六法 令和2年版』(有斐閣)において編集者がつけた見出しは、「【婚姻の自由】」)第2項には「婚姻をすることができる年齢*7の男女が婚姻をしかつ家族を形成する権利は、認められる」とある。
立憲民主党の性犯罪刑法改正に関するワーキングチームにおける50代衆議院議員の話は、産経新聞「<独自>『50歳が14歳と同意性交で捕まるのはおかしい』立民議員が主張」によると、
「年の離れた成人と中学生の子供に真剣な恋愛関係が存在する場合がある」
とのことだが、仮にそうだとしても14歳から18歳(令和4年4月1日施行)までは4年もある。 「判断能力の未熟な青少年を性的に保護する趣旨」*8の方が勝ると思う。
結局は、
立民のWTが4日にまとめた中間報告では、中学生の意思決定や判断能力は脆弱で、圧倒的な力の差がある成人から性虐待や性的搾取を受けるケースが多いと指摘。同意の有無にかかわらず、中学生以下との性行為を犯罪とするよう法改正を求めた*9
という方向性で問題はなく(筆者の私見では、同意年齢を16歳にするべきだとなる)、咎められるのは50代議員くらいということになろう。
*2:
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/3258585/
*3:
筆者のAmazonレビューは「産経も 批判をされて 金字塔」
https://www.amazon.co.jp/review/R18X4EQATT9B3F/ref=cm_cr_srp_d_rdp_perm?ie=UTF8&ASIN=4865720219
*4:筆者の手元にある紙の読売新聞であれば、2021年6月8日統合版13版4面「性行為同意巡り立憲発言認める」
*5:「産経新聞「<独自>『50歳が14歳と同意性交で捕まるのはおかしい』立民議員が主張」」
*6:西田典之『刑法各論』(弘文堂法律学講座双書、1999)p.82
*7:ブログアップ時点で男は18歳、女は16歳だが、令和4年(2022年)4月1日から男女とも18歳になる
*8:*6と同じ
*9:*5と同じ