清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

妄想で 本出している ビジネス社

 某日、ある書店に行ったところ、『韓国はどこに消えた!?』(高山正之/渡邉哲也、ビジネス社、2021年)という本を見た。アマゾンのサイトの紹介文*1を見ると、「世界から見捨てられた国の哀れな末路」とある。章題も書いてあるので紹介すると、「第1章●『韓国いらない』が世界の本音」だとか「第3章●国家の体をなさない『小中華』の非常識」だとか「第4章●暴走する『無法国家』の末路」だとか書いてある。

 

 全然イメージが湧かないなぁ。「『韓国いらない』」?K-POPや韓流コンテンツもそうだが、スマートフォンやテレビの世界シェアナンバー1企業って韓国*2の企業ですよ*3「国家の体をなさない」も意味不明だけど、成文憲法がなくても国家って成り立つからなぁ*4。「暴走する」って、韓国がなんかしたの?核兵器でも持ったのか? 対馬に軍事侵攻でもしたのか? 

 

 こういう本を買う人の気が知れないな。筆者は興味本位で立ち読みしたが、「まえがき」には以下のようなことが書いてあった。

 心穏やかに生きたいと思う。それが地下鉄に乗るたびに乱される。駅の表示に、あるいはドアの上のパネルに出てくるハングル文字だ。読めないし、読みたいとも思わない。*5

読めないなら学べばいいのに。「ハングルは子音と母音のパズル」*6だから、覚えれば日本語話者でない人が日本語のひらがなを読むより読みやすいだろう。また、韓国語を学ぶ気すらない人の韓国評論なんて意味がないだろう*7。なお、続きも読んだが、ここで引用するのがはばかられるほどひどい内容だった。筆者は『韓国はどこに消えた!?』の絶版を勧告するとともに、読者が買わないことを期待したい。

 

 そんなビジネス社がまたやらかしちゃった。読売新聞2021年12月31日統合版13版2面に、呉善花(オ・ソンファ)さんの著作『反目する日本人と韓国人』の広告が載っているが、それがひどい。以下、引用する。

両民族が共生できないわけ

なぜ、頑迷な反日が韓国に根を下ろしているのか? 

問題なのはいうまでもなく韓国の反日です

何をもって「共生できない」とするかは不明だが、外務省HP「大韓民国基礎データ」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/data.html によると、「4 在留邦人数/40,500名(出典:2020年10月、外務省海外在留邦人数調査統計)」とのこと。在留邦人が暴動をおこしているというのは聞いたことがない。つまり、現実は共生できているということだ。このようなデータを出すまでもなく、K-POPアーティストになるために韓国に行く日本人はいる。TWICEのモモさん、サナさん、ミナさんの存在も知らないということは、社会情勢に疎いんだろうね。問題なのは「韓国の反日」ではなく呉善花さんなのは明らかである。『反目する日本人と韓国人』も絶版にした方がいい。

 

 それにしても、こんな現実離れした妄想本、それだけならマシだけど妄想本で韓国に対する嫌悪感を煽っているビジネス社って何なのだろう?このような会社が消えないと*8日本はいい方向に進まないのではないか?

 

 というわけで、ビジネス社が消えることを祈りつつ、今年を終えることとする。よいお年を。

 

 

*1:2021年12月31日アクセス。

https://www.amazon.co.jp/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%AB%E6%B6%88%E3%81%88%E3%81%9F-%E9%AB%98%E5%B1%B1-%E6%AD%A3%E4%B9%8B/dp/4828423346/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=3OYIOQFS5Q6U9&keywords=%E9%9F%93%E5%9B%BD+%E6%B6%88%E3%81%88%E3%81%9F&qid=1640951862&s=books&sprefix=%E9%9F%93%E5%9B%BD+%E6%B6%88%E3%81%88%E3%81%9F%2Cstripbooks%2C198&sr=1-1

*2:本エントリーでは、著作タイトル以外も、大韓民国のことを「韓国」と表記する。

*3:会社四季報業界地図2022年版』p.80(スマートフォン)、p.82(テレビ)。もちろん企業にとって大事なのはシェアよりも利益だが、シェアが多いということは消費者の支持を得ていると言える。

*4:イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国。外務省HPの表記に従う。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/uk/index.html

)。

*5:高山正之さんによる。Amazonサイトの「試し読み」から。

*6:NHKテキスト テレビでハングル講座』2020年4月号p.14の表現。

*7:元駐韓大使の武藤正敏さんだって勉強しているだろう。あくまで推測。

*8:『韓国はどこへ消えた⁉』から表現のヒントを得た。