清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

片田珠美 真山仁 引退勧告

 今日取り上げる2人のプロフィールは、ウィキペディアで確認。

 

片田珠美 - Wikipedia

真山仁 - Wikipedia

 

 2022年7月8日に、安倍晋三・元内閣総理大臣が銃殺されるという痛ましい事件が起きたが、現時点では、安倍晋三が世界平和統一家庭連合(以下、「旧統一教会」と記す)の友好団体*1の動画に出ていた*2ことが引き金になったということで落ち着いている。

 

 ところが、日時は失念したが、「ニュースウォッチ9」(NHK総合)を観たところ、一聴してトンデモな解説と思われるものを2つ発見したので取り上げる。その解説は、NHK NEWS WEB「安倍元首相銃撃から1週間 容疑者の人物像は 警備の問題点は」(2022年7月15日20時59分)に載っている*3ので、以下、引用しつつ検討する。

www3.nhk.or.jp

 

容疑者の心理 精神科医が分析*4

 

 犯罪心理に詳しい精神科医の片田珠美さんは容疑者について、「過酷な人生を送った結果、『普通の人には許されないことでも、自分には許される』というゆがんだ特権意識が生まれ、事件につながったのではないか」と指摘しています。

 片田さんがこれまでに報道されている内容を分析したところ、「中学や高校時代は非常に優秀だったという証言もあるが、卒業後は人生がうまくいかず、この20年間、安定した職に就くことができていなかったとされている。『頑張っても報われない』といった不満が積もる中、母親がのめり込み多額の献金をしていた宗教団体に恨みを募らせたが、代表者に接近することが難しかったため、その矛先を別の対象に向ける『置き換え』という心理が働いたと考えられる」と述べました。

 そして、「報道を見るかぎり容疑者は過酷な人生を送ってきたため、『自分はこれだけつらい思いをして不公正に不利益を被ったのだから、普通の人には許されないようなことでも自分にだけは許される』というゆがんだ特権意識が生まれ、事件につながったのではないか」と指摘しました。

 また、近年発生している無差別殺傷事件との関連については、「今回は形は異なっているものの容疑者が強い欲求不満を抱きつつ孤立し、絶望感、無力感、復しゅう願望を抱いていた点で共通している」と述べました。

 そのうえで片田さんは、「現代は地域や家庭のコミュニティーも崩壊しつつあり、困ったときに誰にも助けてもらえないような状況が目立っている。容疑者も孤立しうっ屈していた可能性が高いが相談できる相手がいないと他人の意見や考え方、感じ方を聞く機会がないため視野狭さくに陥りやすく、復しゅう願望に凝り固まってしまったのではないか。われわれもひと事と思わず、できるだけ声をかけていく、見守りをする、相談窓口を紹介するなどといった対応が必要だと思う」と指摘しました。

 

 正直、「「過酷な人生を送った結果、『普通の人には許されないことでも、自分には許される』というゆがんだ特権意識が生まれ、事件につながったのではないか」」がよくわからない。「「過酷」」って客観的なものなのか。主観であれば相当数の人が持っているものと思われ、そうなると事件頻発となるが。「母親がのめり込み多額の献金をしていた宗教団体」までたどり着いているのに、そこからの考察が足りないなぁ。

 

小説家 真山仁さん「事件の背景 冷静に見る必要ある」*5

 元新聞記者で社会派の作品を多く手がけてきた小説家の真山仁さんは、「銃社会ではない日本で、総理経験者が事件に遭うというのは、最初はなかなか事実を受け入れられなかったが、一方で、いつかこうしたことが起きるのではという社会のムードもあった。特に若い世代の人たちが息苦しさを感じていたので、閉塞感や怒り、不満みたいなもののマグマが社会の底流にはずっとあった。社会を見ながらモノを書いている人間からすると、嫌なムードだというのはこの10年くらいずっと思っていたので、それが今ここで来たのかと感じた」と話しました。

 一方で、「まだ、そんなに時間がたっていない中で、情報が膨大に出てきていて、そこに飛びつきすぎている印象がある。影響力のあった元総理大臣が銃撃されて亡くなるという衝撃は大きく、メディアも含めて多くの人が『なぜ』と知りたがるのは当然だが、少なくとも今、表出している情報に関して言うと、明らかに個人的な、ある意味逆恨みのような犯行としか思えない。ただ、もう少しうがった見方をすれば、そういう情報ばかり出ているということも少し気をつけないといけない」と述べ、事件の背景を冷静に見る必要があると指摘しました。

 そして、1週間しかたっていない中で、事件の原因や背景を結論づけることは難しいとしたうえで、「今、たくさんの情報に振り回されるのではなく、どうすればこのような事件が二度と起きないようにできるのか、あるいは、この事件で私たちは時間をかけて、何を見ていかないといけないのか、自問自答したほうがいいと思う」と話していました。

 

 真山さんに至っては、片田さんでも言及した「宗教団体」が抜け落ちている。被疑者は40代前半だから「若い世代」としても、また、旧統一教会の被害者が生み出されているにしても、「若い世代」の「閉塞感や怒り、不満みたいなもののマグマ」というのはちょっと広げ過ぎではないか。

 

 もちろん、「1週間しかたっていない中で、事件の原因や背景を結論づけることは難しい」に決まっている。しかし、献金や破産、手紙の投函の事実がある現状では、旧統一教会の信者の子であるがゆえのつらさであることを否定するのは難しいのではないだろうか。そして筆者が「『自問自答』」した結果は、政治家が旧統一教会との関係を断ち切るべきであることをブログに書くことである。旧統一教会と関係がある政治家を批判することによってさらなる犠牲者が出ないようにするのである。

 

 文章にするとマシに見えるが、「ニュースウォッチ9」を見た時は少々怒った。霊感商法で人々を苦しめた旧統一教会の友好団体に安倍晋三が出ていたこと自体が非難されるべきはずだが、それをスルーして「『特権意識』」(片田珠美さん)だとか「若い世代」の「閉塞感や怒り、不満みたいなもののマグマ」(ともに真山仁さん)だとかという分析をするのでは勉強不足にしか見えない。両氏の引退を勧告するものである。

*1:統一教会の弁。

*2:2回だとか。プレジデントオンライン「安倍元首相だけではない…米メディアが「トランプ元大統領と統一教会の癒着」を相次いで報じる理由(略)」(シェリーめぐみ。2022年7月21日10時。

https://president.jp/articles/-/59761 )によると、「特定の団体のイベントに、わずか半年の間に2度出演というのは、なかなかの頻度にも感じられる」とのこと。

*3:完全に同じかは確かめていないが、概ね同じとしてよいと判断した。

*4:原文太字。

*5:原文太字。