タイトルの通りの話だが、筆者は、「韓国」という文字に遭遇すると、なぜかドキッとしてしまうという話。以下、2例。
(1)日刊ゲンダイデジタル「桧山珠美 あれもこれも言わせて テレビ視聴率急降下のなか“昭和もの”バラエティーが好調…Z世代タレントには逆に新鮮?」(2022年8月21日6時公開。同13時40分更新)
全体の内容としては、テレビ番組の全体の視聴率は低いが、日本テレビで2022年8月13日に放送された「ダウンタウンVSZ世代 ヤバイ昭和あり?なし?」が高視聴率であるという話だが、本エントリーで引用するのは、以下の部分である。
13日の「サタデープラス」(TBS系)で「89歳年金10万円で豊かに暮らすシニアに密着」という企画をやっていた。老女によれば、Netflixで韓国ドラマや動画を見るのがアンチエイジングになるという。89歳の老女が動画にハマる時代、テレビの未来は真っ暗だ
文字通りの意味なのだろうが、「韓国ドラマ」という文字を見てドキッとしてしまった。著者はテレビコラムニストだから、とりわけ日本のテレビのひいきと推測するので、(「韓国」のドラマや動画なんかに負けてしまうのか)という風に読んでしまった*1。別に韓国ドラマや動画を見ることと、日本のテレビ番組を見るのは、トレードオフとは限らない(テレビやドラマ・動画を見る時間は調節できるから)。単に面白いコンテンツが増えたという風に思えばよかっただろうに。
(2)『韓国軍はベトナムで何をしたか』(村山康文、小学館新書、2022)の「はじめに」の部分(
)。
全体を読めば、知られていなかった加害行為が知られるようになったことを書いているし、筆者未読も、アマゾンレビューを見る限りではまともな本のようである。しかし、先日、その本を書店で見て「はじめに」を読んだところ、以下の引用部分が目についた。
(前後略)日本は、1910年*2から終戦の1945年までの間、朝鮮半島を植民地にしてきた。戦後、慰安婦問題などがニュースで取り上げられるたび、マスメディアやSNS上で議論が再燃するが、近年は「韓国もベトナムで同じようなことをしたではないか」と、ライダイハン(略)問題やベトナム戦争時の民間人殺害事件が引き合いに出されることがある。しかし、慰安婦問題は、日本が朝鮮を植民地化していたところに戦争状態が合わさって起きた複雑な問題だ。ベトナム戦時下の、戦場の狂気のなかで、韓国軍が行った事件と同列に扱える問題ではない。それぞれ別の加害と被害であり、同様に論じるべきではないと、私は考えている。
-『韓国軍はベトナムで何をしたか』「はじめに」
『韓国軍はベトナムで何をしたか』の著者である村山さんはベトナムを取材対象とした、おそらく日本人フォトジャーナリストであるから*3、韓国軍がベトナムでしたことが本当に問題であり、大日本帝国が起こした慰安婦問題など大したことなどないと、著者が言ってもいないはずなのに読めてしまった。「それぞれ別の加害と被害であり、同様に論じるべきではない」と書くから誤解されるので、どちらも倫理的に悪である、くらいに書いた方がよかったと筆者は思う。
日本人は、大日本帝国の植民地支配の故か、朝鮮半島について素直にものを見るのが難しくなっていると筆者は思っている。だから筆者が「韓国」という文字を見るとドキッとしてしまっていると自己分析をしているが、本エントリーで取り上げた桧山珠美さんや村山康文さんが、朝鮮半島に対して醜い見解を持っていないことを祈りたい。