最近よくわからないのは、現行民法において、離婚時の単独親権のみから、共同親権も選べるようにすることについて反対論があることである*1。
子の利益が第一とはいえ、婚姻時と同じにするのを原則とするだけである。何が悪いのだろう*2。
どの親族法の本にも書いてあるはずだが、歴史的には、家長、すなわち父親が*3親権を持っていた。それを平等にするには、婚姻時であれ離婚であれ共同親権を原則とするしかないはずである。
ところで、現在、離婚時における親権は、どちらが持つ場合が多いか。書くまでもないが、母親である。東京スタートアップ法律事務所「離婚して父親が親権取得する割合は?獲得するためのポイントを解説」(中川 浩秀・代表弁護士。2021年6月3日(更新日:2022年4月7日)
、ならびにネクスパート法律事務所「離婚で父親が親権を獲得できる割合と不利な理由」(2022年4月7日)
に共通して書かれているのだから、真実としてよいと判断する。
重ねて書く。子の利益が肝心である。しかし、だからと言って、父親に親権がなくなることを正当化するのは難しいだろう。「離婚で父親が親権を獲得できる割合と不利な理由」に書いてあるような「男は外で仕事を行い、子供は母親が育てるもの、という考えが根付いているからだと考えられます」ということもあるだろう。普段は女性差別に厳しい人でも、親権に限って差別性*4を無視するのでは、ダブルスタンダードだろう。
共同親権で不都合があるのであれば、婚姻時同様の親権の喪失の制度(民法第834条から837条)を創設すればいいのである。
というわけで、筆者としては、共同親権反対論に理由はなく、共同親権を原則とすべきであると考える。欧米で主流だから*5主張するわけではないのは、本文を読めばわかるだろう。