清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

インターナショナル スクールだから 何とかしろ?

 読売新聞オンラインの記事「『英語力を』保護者の需要に応え、インターナショナルスクール続々…公立校と掛け持ちも」(2023年1月11日21時44分)

www.yomiuri.co.jp

を問題視できない人が問題であるという話。以下、記事から引用してみよう。

 

インターナショナルスクールの多くは、学習指導要領に沿った授業を行う学校教育法1条で定める「学校」(1条校)ではなく、日本の小中学校の卒業資格を得られない。さらに同法では、保護者に日本国籍の子供を1条校に通わせる「就学義務」も課している。(2ページ目)

 

 不登校児らが通うフリースクールは1条校でないが、施設での学びは教育機会確保法で認められており、在籍校の校長は、学習記録を基に出席扱いにできる。しかし、インターナショナルスクールに通う子は同法の対象外だ。文科省は「1条校に通ってもらうよう教育委員会から督促してもらうしかない」と具体的な対応を取る予定はないという。

 弁護士で兵庫教育大准教授(教育学)の神内聡氏は「公立校に在籍しながら、実態はインターナショナルスクールにしか通っていない状況を国は黙認すべきでない」と文科省の姿勢を批判。「まずはスクールに通う子供の現状を把握した上で、学習内容などを適切に評価する仕組みを検討するべきだ」と話している(3ページ目)

 

 これはインターナショナルスクールに限らない。他の外国人学校もそうである*1。例えば、カテゴリーは違うが、朝鮮初級朝鮮学校の生徒の1割が日本国籍である*2。なぜインターナショナルスクールのみを問題にするのだろう。

 

 本来の予定稿は「インターナショナルスクールなら読売新聞の記事の通りだが、例えば朝鮮初・中級学校と書いてあったら『ぜってぇぇぇ~~に認めねぇぞ!』という人がいそうだな」であったが、実際には、既に解決法がある。文部科学省HP「高等学校入学資格 Q&A」(2023年1月13日アクセス)である。以下、引用してみる。

 

Q1 日本に居住しながら日本の中学校等に就学していない者が、高等学校に入学することはできますか。

A1
 学校教育法第16条及び第17条の規定により、学齢児童生徒の保護者に対しては就学義務が課されていることから、保護者が、その子である生徒を中学校等に就学させないことは制度上想定されていません。
 しかしながら、何らかのやむを得ない事情によって義務教育を修了していなくても高等学校への入学は可能であり、中学校卒業程度認定試験を受験し合格した上で、高等学校の入学者選抜試験を受験することができます。

Q2 日本にある外国人学校中等部を卒業したことによって高等学校入学資格を有しますか。

A2
 日本にある外国人学校中等部は中学校ではないため、これを卒業したことをもって、高等学校入学資格を有するものではありません。
 しかしながら、A1にあるように、中学校卒業程度認定試験を受験し合格した上で、高等学校の入学者選抜試験を受験することができます。
 なお、当該生徒の保護者が日本国籍を有しない場合には、そもそも、その保護者に就学義務は課されていないため、校長の判断により、各高等学校において、中学校卒業者と同等以上の学力があると認められた者についても、当該高等学校の入学者選抜試験を受験することができます。(学校教育法施行規則第95条第5号)

 

 読売新聞にある神内聡の見解を採用する必要はなく、現行制度で特に問題はなさそうである。

 

 インターナショナルスクールだから何とか認めてくれ、という差別意識が背景にあったとすれば、問題の記事である。そうでないなら、制度も知らずに書いたマヌケな記事ということになる。

 東京都内の公立中学校では、インターナショナルスクールに通う生徒が10人在籍し、スクールが夏休みに入った7月前半の1週間だけ通ってくる。同中学校で学んでいないため、通知表は出せないが、校長は「籍がある以上、卒業証書を渡さざるを得ない」と話す。*3

ということで済むのであれば、それでよく、それがまずいなら、中学校卒業程度認定試験を受験すればいいだけのことである。

*1:文部科学省HP「高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度の対象として指定した外国人学校等の一覧」(2023年1月13日アクセス。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1307345.htm

*2:バリバラタイムズ「玉木幸則のマイノリティーワンダーランド『朝鮮学校から多様性社会を考える』」2022年7月22日23時。

https://www.nhk.jp/p/baribara/ts/8Q416M6Q79/blog/bl/pLX3Q03nzZ/bp/pWM3BDDerJ/

 なお、「カテゴリーは違う」とは、初級学校は小学校相当であり、読売新聞の記事は主に中学校を問題にしている。なお、バリバラタイムズによると、「ちいん『民族学校に通うのは義務教育まで、っていうのも親の希望ですし、高校から日本の学校っていうのも親の決めたことやったんですけど(以下略)』」ともある。

*3:「『英語力を』保護者の需要に応え、インターナショナルスクール続々…公立校と掛け持ちも」2ページ目。