岸田文雄・内閣総理大臣が、2023年3月21日(現地時間同日)にウクライナを訪問したと、外務省が報じている。外務省HP「ウクライナ 岸田総理大臣のウクライナ訪問」(2023年3月22日)をご覧あれ。
実際の効果は、同じく外務省HPで確認されたし(ともに2023年3月22日)。
「日・ウクライナ首脳会談」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/c_see/ua/page4_005820.html
「日・ウクライナ共同声明」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/c_see/ua/page4_005819.html
ところで、ウクライナは現在どういう状況なのだろうか。外務省HPによると、2022年10月5日時点で「レベル4 退避勧告」になっている。外務省HP「海外安全ホームページ」より(ウェブサイトは2023年3月29日アクセス)。
岸田文雄・内閣総理大臣がウクライナを訪問していた時も退避勧告だったわけで、「危険なところに何で行くんだ?」という非難が可能であろう。
「え、何言ってるんだ」って? 東日本大震災の時にあったんですよ、似たような非難が。そう、菅直人・当時内閣総理大臣が、2011年3月12日に、結局メルトダウンした東京電力福島第一原子力発電所に視察に行ったときに。
内閣総理大臣にもしものことがあってはならないならば、岸田文雄も菅直人も同じ評価でなければならない。すなわち、危険なところに行ってはいけない、と。
岸田のウクライナ訪問の評価は差し控えるが、菅の場合は、副次的効果もあったという。すなわち、自衛隊員を10万人まで派遣できるようにしたのは、非難ごうごうだった前述の視察とともに「地震と津波の被災地も上空から視察してい」たからだという。「地震と」以下のカギカッコ内は、『安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ』(尾中香尚里、集英社新書、2021)のp.62からの引用であるが、同書pp.42-68の「原発事故、最初の3日」を読んでいただきたい。
本記事で言いたかったことは、行政府の長である内閣総理大臣は、ときには危険を冒すものであることを理解した方がいいということである。筆者は、現時点において、岸田がウクライナを訪問したことが妥当だったか判断しない(もっとも、「その必要はない」との批判は甘受するが)のも、そういう趣旨だと理解していただきたい。