第81期将棋名人戦7番勝負は、2023年6月1日に決着がつき、挑戦者の藤井聡太竜王が、渡辺明名人を4勝1敗で下して、史上5人目の竜王名人*1、ならびに羽生善治・現九段以来の七冠王になったのは皆さんご存じだろう。
それはめでたいのだが、将棋ファンである筆者が気になったのは、角換わり*2の定跡の動向である。以下、執筆順にリンクを貼る。
①ペンギンクミマヌ『note』「角換わり腰掛け銀の先手必勝定跡」(2022年12月10日17時41分)
②やねうら王(@yaneuraou)の2023年5月8日12時43分のツイート。
角交換と言う戦型が終わった。
— やねうら王 (@yaneuraou) 2023年5月8日
1886局面の指し手を覚えるだけで先手側は公開されてる水匠(探索局面数は1億までの任意)に対して評価値+300に出来ることが証明された。
大会で上位のソフトは+300から逆転は97%ぐらいありえないので(手数で引分はある)つまりは将棋AIの世界では角交換の後手は必敗。
③遠山雄亮六段『Yahoo!ニュース個人』「将棋ファンはなぜ「角換わりは終わった」説に注目するのか?「矢倉は終わった」と何が違うのか?」(2023年5月27日11時15分)
要は、将棋AIの世界においては、角換わりは先手が必勝(①、②)または「有利」(③)ということになったという。
現在のプロはAIの研究が盛んと聞いているので、今まで以上に角換わりの将棋が指され、先手が勝つことが予想される。そうなると、将棋が現在のルールで存続できるかということを考えてしまい、見るべき名人戦から気をとられてしまった次第である。
その名人戦第5局の詳しい解説は、例えばABEMA将棋【公式】のYouTubeチャンネルにアップされているので、リンクを貼る。
渡辺明名人(当時)は、飛車先を保留して、あえて筆者が有利と聞いている角換わりの局面を避けた印象がある。藤井聡太挑戦者も△4四歩として息を合わせた。この進行を見る限りでは現行ルールの将棋が終わるのはまだまだ先と思うが、対局者も角換わりが先手有利で現行ルールの将棋が終わるのを恐れているというのは穿ち過ぎか。
記事のタイトルがアクセス稼ぎに解釈されそうで申し訳ないが、筆者は本当に、名人戦に集中できずに角換わりの先手必勝or有利のことを考えてしまったので、そういうタイトルにした。