死刑囚・袴田巌*1が、再審の末無罪となり、検察側が控訴せず、無罪が確定した。それについて主要新聞の社説がどう言っているのかを紹介する。
①*2"(社説)袴田さんの無罪確定へ この不条理から何を学ぶ".朝日新聞.2024-10-09.
②"<主張>*4袴田さん無罪確定 直ちに再審法整備へ動け".産経新聞.2024-10-09.
③"<社説>検察が控訴断念 袴田さん「真の自由」に".東京新聞.2024-10-09.
④"[社説]袴田さんの再審無罪確定を重い戒めに".日本経済新聞.2024-10-09.
⑤"社説:袴田さんの無罪確定 死刑存廃の議論深める時".毎日新聞.2024-10-13.
⑥"社説:袴田氏無罪確定 人生を奪った刑事司法の罪".読売新聞.2024-10-11.
ざっと見たところ、⑤を除いて、再審制度の整備を唱えている。それはそれでいい。
当ブログで問題にするのは、③と④と⑥が死刑について言及していないことである。執行されてから無罪になっても、死刑囚だった者の名誉は回復されるも、死刑囚は生きられない。従って、死刑囚が無罪になった時に死刑に言及するのは当然のことのはずである。
だからといって、②のように、「死刑制度を有するからこそ、日本は再審規定の充実が必要だ。死刑執行事件で再審無罪が出れば、日本の刑事司法は瓦解(がかい)する」のであれば、死刑を廃止すべきとなるはずだが、産経新聞の場合は再審制度の法整備しか唱えていない。これも③、④、⑥と事実上同じく、死刑廃止の言及はない。
というわけで、死刑に関してまともなことを言っているのは、①と⑤であり、批判は多いのは承知もそれなりの信用性を保っていると評価できよう。