安倍内閣が発足した。
安倍内閣の最優先課題は、教育基本法改正などの教育改革だそうだ。
一連の教育改革論議を見ると、教育をよくすることが目的なのではなくて、教師をいじめるのが目的なのではないかと思ってしまう。
教育基本法改正(改正案は右記のサイトに詳しい。「現行教育基本法と「教育基本法改正案」の比較」(http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/education.html))についていえば、伝統・文化の尊重、愛国心の重視の名の下に先生の教授(教育)の自由(憲法第23条の学問の自由の一内容で、大学の教授のみならず、小中高の先生にもある程度は認められると解するのが憲法学会では支配的だそうだ(芦部『憲法学型邑各論(1)』(有斐閣)p215~p219)参照)を侵害しようとしているように見えるし、廃案(継続審議だそうです(2006年9月28日読売新聞朝刊東京本社版第13版(仙台では)第2面)。お詫びして訂正します)になった「教育基本法改正案」では実現しなかったが、現行教育基本法第10条第1項の「不当な支配」の文言を削除して公権力の介入をしやすくし、その結果教授の自由を制約しようとしているように見える。
そのほかでは、教員免許の更新はいいとして(安倍内閣以前から議論されているので、本記事では考慮外)、安倍さんの著書『美しい国へ』(文春新書)では、公務員のリストラには一切触れず(読み飛ばしの可能性があるので、ご指摘いただければ幸いです)、教師だけ辞めてもらう趣旨のことが書かれている。また、バウチャー制度の導入により、東京都など私立の勢力が優勢なところで私立学校に行きやすくするという美名の下に公立学校の衰退(の結果の統合、廃止による教員の解雇をもくろむこと)を進めようとしてるように見える。その一方で、学級崩壊対策としての厳格な用件の下での体罰容認(学校教育法第11条ただし書き参照)や30人学級の実現(安倍さんは以前「教員の雇用確保が目的」として、『正論』誌上で明確に否定している(号数は忘れてしまった。申し訳ない))、冷房の設置(授業時間の確保には重要)、予算の増大についての言及がない。
問題教員はいるのかもしれないが、あまりそれを強調すると、誰も教員の言うことを聞かなくなるという逆効果しか生じないだろう。教員いじめはひとまずやめて、有効な教育政策を実行すべきである。