清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

(教育基本法改正記念?)読売の 教育記事は おかしいよ①記事編

教育基本法改正案が参議院でも可決され、成立した。読売新聞はそれについてかなりはしゃいでいる。だいたい、はしゃいでいるときは間抜けなことが多いので、その間抜けぶりを2回に分けて指摘してみたい。まずは社説以外の記事(続編は社説)。

1『編集手帳』からおかしい。「「国を愛する心」(中略)を説く声が、軍国主義の復活だ、戦前回帰だ、という批判にかき消された61年間であ」り、「廃棄物(軍国主義)と忘れ物(「国を愛する心」か?)を混同することはもはやありえない」とあるが、歴史を重視すれば、批判はまっとうだし、「廃棄物と忘れ物を混同すること」はやはり警戒しなければならないのではないか。

2(1) 2006年12月16日朝刊2面をみると、「元々、首相には、戦後社会が家族の大切さや地域社会の助け合いなどの伝統的価値観を子どもに教えることを軽視したことが国民の規範意識を低下させ、いじめや犯罪が多発する要因になったとの思いが強い」と書いてある。しかし、新聞記者なら、安倍さんの思いを批判的に検討しなければならないだろう。

まず、)榲?法◆崟鏝綣匆颪家族の大切さや地域社会の助け合いなどの伝統的価値観を子どもに教えることを軽視した」のか。むしろ、企業や政府が労働時間に規制を設けるを渋って働かせたので「家族の大切さや地域社会の助け合いなどの伝統的価値観」が崩れたのではないか。それなのに、企画や人事などの労働時間制限撤廃をもくろんでいるのは、矛盾だ。

仮に「伝統的価値観を子供に教えることを軽視した」としても、それが「国民の規範意識を低下させ、いじめや犯罪が多発する要因になった」のだろうか。規範意識は低下していないという説もあるし(浅野智彦編『検証 若者の変貌―失われた10年の後に』をご一読ください)、戦前はいじめがなかったのか疑問だし、犯罪は多発していないからである(毎日新聞12月15日朝刊(仙台では)によると、犯罪認知件数は4年連続減少しているし、検挙率は7年ぶりに30%台に回復したという。ちなみに、ここ4日間の読売新聞には載っていなかった。さては、不都合なことを隠そうとしているのだろうか)

(2)さらに読み進めると、「首相周辺は「約60年間、金科玉条のように変えられなかったものを変えた。一度決めたものは変えられないという日本人の意識を変えることができた」と指摘し」たそうだが、ほとんどの法律は変えられているので(『ポケット六法』(有斐閣)などを見よう)、「一度決めたものは変えられないという日本人の意識」などない。

3 38面に教育関係者の声が書かれているが、これもおかしい。

(1)「あいさつしない子や、ゴミが落ちていても無関心な子が増えている」と語る山梨県の県立高校校長(59)は、「個を尊重するあまり、ほめてばかりで厳しく指導できない教師も多い」と嘆く。」とあるが、こちらが嘆きたいぐらいだ。「あいさつしない「大人」や、ゴミが落ちていても無関心な「大人」もいるでしょう。「厳しく指導」するのが個の尊重でないというのもわからない。

(2)「宮城県の中学校長(57)は「地元の人を授業に招いて伝統芸能を披露してもらえば、子供たちは日本や地域の良さに気づいて、好きになるはず」と期待を込める」が、〆までやってなかったのか?伝統芸能を見たからって「日本や地域の良さに気づく」とは限らない(クラシックは退屈と思うのと同じ)これからやるにしても、学力低下が騒がれているのに、時間があるのか、といったツッコミが可能である。

(3)家庭教育の条文についての声は、特に書くことがないので、省略する。ただ、本音は「これで学校の責任が軽くなるかも(「保護者はこの教育に第一義的責任を有する」改正教基法第10条)」といったところか。

(4)「「富山インターネット市民塾」の事務局長」(中略)は、「生涯学習の理念」という条文が盛り込まれたことを喜ぶ」とあるが、条文に盛り込まなくても勝手に「生涯学習」をやっていればいいではないか(誰も禁止していないのだから)。

(5)この記事に出ている教育者は、みんな意識が低くていけませんな。自分のしたい教育をするという信念もないのだろうか。そういう信念があれば、今度の改正は特に必要がないということがわかるはずだが。