今日の読売新聞朝刊(仙台では)は、1日の木曜日ということで、雑誌の広告が目白押し。ただ、内容はどうかと思うのが多かった。
まず、14面に、読売新聞社が発行している本、「ニートにさせないために必要なのはこれだ!息子・娘を成長させる大学」。これには、.法璽箸砲覆辰燭辰栃未砲茲い任呂覆い(あとでちゃんと就職すればよいから。ニートにさせないことに汲々として、犯罪的なことをする企業に就職したらそれこそ取り返しがつかない)。大学に行ければニートになる心配を必要以上にする必要がない(高卒の人が多い、大学の場合は就職希望者より求人数のほうが多いのが通例、など)、といった疑問や批判が可能である。
次はMOKUという雑誌の左隣に、長田百合子さんの「人には聞けない子供問題撃退マニュアル」というのがある。客観的に言って、「よい子」より長田さんのほうが危ない(裁判係争中)。この本の売り上げを損害賠償に使うのだろうか。なお、長田さんの活躍ぶりをTVで見たことがあるが、彼女のやり方が許されるかどうかは疑問があるというにとどめておこう。
週刊誌は飛ばして、7ページの月刊誌。諸君の見出しに目が行った。特に私の目を惹いたのは、石原慎太郎さんと義家弘介さんの「子供を守るための7つの提言」である。内容を詳しく精査したわけではないので批判をするのはよくないが、結構笑える(失笑系)。以下、検討する(なお、カッコ内の○、△、×は私の評価)。
1 新たないじめを生むジェンダーフリーの是正(△)
なぜジェンダーフリーがいじめを生むのかについては差し控えるが、男らしさ・女らしさの強調でもいじめを生むのではないか(たとえば、○○は男らしくなく、なよなよして、気持ち悪い)。いじめとらしさの問題というのはつながっているのだろうか。
2 占領期の亡霊「体罰禁止」通達を廃止せよ(×)
私はこの通達に似た「教師の心得」を見たが(右記の「子供の感性を育む会」のサイト参照。http://www.gld.mmtr.or.jp/~school/taibatsu.html)、
この通達に書かれていること自体は正当である。また、以前『教育言説をどう読むか―教育を語ることばのしくみとはたらき』(今津孝次郎・樋田大二郎偏、新曜社)を読んだが、それによると、体罰はほとんどの国では原則禁止で、例外的に許容しているアメリカやイギリスでも厳格な要件(たとえば、お尻を鞭で打って、速やかに校長に報告する)があるそうだ。それからすると、「体罰禁止」通達の廃止は危険が大きいのではないか。
3 携帯電話からの有害情報の遮断を(△)
そもそもメールと通話しかできないという携帯やPHSは未だ出来ていないのだろうか。連絡手段として使うならメールと通話だけでいいはずなので、もし出来ていなければぜひ作っていただきたい。そうすれば、この問題は生じないと思う。
4 「親こそ教育の最高責任者」という自覚を持て(○)
これはそうだ。ただ、改正教育基本法のように条文化の必要はない。教師、学校、教育委員会の責任逃れが懸念されるからである。
5 教師は「聖職者」たれ(×)
正しくは、「石原都知事は教師を縛るのを辞めろ!」冗談はさておき、教育基本法の改正、ならびに現在の教育政策をみると、教師の「労働者」性をより強めているように思える(教師に対する注文や管理が多いように思う。式典での日の丸・君が代も本来は学校毎に決めればいい問題だが、学習指導要領どおりにやらないと教師が懲戒処分されてしまうのが現実)。むしろ、国や地方公共団体は、もっと学校や教師に任せるべきだ(そうすれば「聖職者」たれと言えるだろう)。
6 職業体験を義務づける(×)
玄田有史さんがニートの概念を輸入したときはそうは思わなかったが(『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』玄田有史、曲沼美恵 幻冬舎文庫)、これをするのは憲法18条違反の疑いが生ずるかもしれない(「その意に反する苦役」にあたるかもしれない。ついでに、掃除当番や給食当番はどうなのだろう。なお、この見解は、本田由紀『若者と仕事』(東京大学出版会)から示唆を得た)。導入は慎重にすべきだ。
7 土曜半ドン復活で、ゆとり教育脱却(△)
授業時間を増やすための方法としては一理あろう。しかし、どこの国でも土曜半ドンなのか、週休2日自体は時代の流れなのではないか(1日8時間、週40時間ならば)、などの疑問がある。冷房を取り付けつつ、夏休みを減らすなども考慮すべきだろう。以上は、ゆとり教育脱却が正しいとしての議論である。私としては、ゆとり教育脱却が正しいかはよくわからない。