清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

最高裁 まともな判事は 藤田だけ?(タイトル敬称略)

今日の読売新聞朝刊11頁(仙台では)に君が代伴奏拒否事件の判決要旨が載っていたので、それを基に論じてみたい。

多数意見によると、第1に、原告の思想性は認めているが(歴史観ないし世界観と書いているから)、「国歌斉唱の際のピアノ伴奏を拒否することは」、「一般的には」歴史観ないし世界観と不可分にに結びつくということはできず、ピアノ伴奏を求める職務命令が、直ちに原告の歴史観ないし世界観を否定するもの」ではないそうだ。

第2に、伴奏を命じる職務命令は、「原告に対して、特定の思想を持つことを強制したり、禁止したりするものではなく、特定の思想の有無について強要するものではな」いそうだ。

第3に、学習指導要領で、「「入学式や卒業式では、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と定め、入学式で音楽教諭によるピアノ伴奏で国歌斉唱を行うことは、趣旨にかなう。職務命令が、目的及び内容において不合理ということはできない」そうだ。

第1~第3までの点から、「本件職務命令は、原告の思想及び良心を侵すものとして憲法19条に反するとはいえない」と結論付ける。

また、那須弘平裁判官の補足意見によると、「「思想及び良心」の問題に深くかかわる内面性」と、参列者の国歌斉唱を補助し誘導する外部性」の「両面性を持った行為が、「思想および良心の自由」を理由に、学校行事から事実上排除されたり、各教師の裁量に委ねられたりすれば、学校教育の均等性や学校の秩序を維持する上で深刻な問題を引き起こしかねない」、「「思想・良心の自由を理由に職務命令を拒否することを許していては、職場の秩序が保持できないばかりか、子供の教育上の諸利益を害することになる」、ことなどを理由として、結論として「本件職務命令」「を意見、違法とする理由は見いだしがたい」とした。

一方、藤田宙靖裁判官の反対意見は、「問題は、入学式でピアノ伴奏することは、原告にとって極めて苦痛なことで、それにもかかわらずこれを強制することが許されるかどうかという点にこそあ」り、原告のような「信念・信条を抱く者に対し、斉唱への協力を強制することが、当人の信念・信条そのものに対する直接的抑圧となることは明白」だとし、「原告が「君が代」に限って伴奏しないことが、参列者に」与える「違和感が、原告の思想・良心の直接的な表現を制約するのに、十分な公共の福祉ないし公共の利益であるといえるか否か」が問題で、「公務員の基本的人権の重みより、なお校長の指揮権行使のほうが重要なのかが問われなければならない」ので、「思想及び良心」の内容の検討と「公共の福祉ないし公共の利益の考量」が不十分として、「2審判決を破棄し、高裁に差し戻す」べきだとした。

まず、多数意見を見ると、 屮團▲糧質佞魑瓩瓩訖μ殻仁瓩、直ちに原告の歴史観ないし世界観を否定するもの」ではないかもしれないが、本件の場合は、戒告処分、繰り返すと減給や停職処分ももある(読売新聞朝刊解説面15ページ参照)ので、実質的には「原告の歴史観ないし世界観を否定するもの」で、「原告に対して、特定の思想を持つことを強制したり、禁止したりするもので」あり、特定の思想の有無について強要するもので」あろう。

学習指導要領で、「「入学式や卒業式では、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と定められていても、直ちに「入学式で音楽教諭によるピアノ伴奏で国歌斉唱を行うことは、趣旨にかなう」とはいえないのではないか。伴奏の「職務命令が、目的及び内容において不合理ということはできない」としても、代替手段をとってはいけないのだろうか(私は小学校の運動会で国歌斉唱を体験したが、そのときは確かテープだったと思う。体育館でテープなどをデッキで再生できないというのは解せないし、いざとなれば校長自らが伴奏すればいいと思う。なお、この事件の判断基準については、ちょっと無理があるかもしれないが、精神的自由の違憲基準における「より制限的でない他の選びうる基準」を借用して考察(伴奏命令自体は表現内容中立規制のようなものだと解するから)。芦部信喜憲法』(新版補訂版 岩波書店)p188参照)。

さらに那須補足意見を検討すると、‘睫明と外部性の「両面性を持った行為が、「思想および良心の自由」を理由に、学校行事から事実上排除されたり、各教師の裁量に委ねられたりすれば、学校教育の均等性や学校の秩序を維持する上で深刻な問題を引き起こしかねない」と要らぬ心配をしている。伴奏拒否ぐらいで国歌斉唱ができないわけでもないし、均等でなくても個性があっていいし、伴奏拒否が式典の進行の妨げになるわけでもないからである(朝日新聞の社説を読んだところ、この事件ではテープで伴奏を流したという(http://www.asahi.com/paper/editorial.html)。
*なお、3月1日からは右記(http://www.asahi.com/paper/editorial20070228.html)

◆峪匐,龍軌蘊紊僚利益を害することになる」とも言っているが、生伴奏まで「子供の教育上の諸利益」かどうかも疑問である。

以上、多数意見、那須補足意見、ともに支持できない。

一方、藤田裁判官の反対意見は私の言いたいことを的確に代弁しており、妥当なものである。ただ、「思想及び良心」の内容の検討と「公共の福祉ないし公共の利益の考量」が不十分と私は書いたが、判決の原文を読んでいないのでなんとも言えない。

この判決を見た限りでは、那須弘平裁判長、上田豊三裁判官、堀篭幸雄裁判官、田原睦夫裁判官は次の国民投票で罷免しなければならないな(もっとも、ほとんどの国民が最高裁判所裁判官国民審査に関心がないので、左記4裁判官は信任されるだろうが)。