4月14日の読売新聞朝刊13ページ(仙台では)に、橋本五郎さんの「古典沈潜の勧め」があった。その後半部分で、岩波文庫に触れている。読売の記者さんが岩波文庫を肯定的に書くのも意外だったが(岩波書店は左寄り(急進、市民の権利擁護、社会主義・共産主義的)というのは間違いないだろう)、なかなかいい内容で、私も岩波文庫に関して書いてみたくなったので書いてみようと思う。
私が岩波文庫の存在を知ったのはいつか、ということはよく覚えていない。初めて買ったのはソローの『森の生活―ウォールデン』だったと思うが、これだって、大学の語学の授業のテキストだから(日本語の訳の参考に)買ったに過ぎない。意識したのは、大学の学年が進み、教養とやらを身につけなければならないと思ったからだった。それからは、可能な限り岩波文庫(だけでなく、岩波文庫にもある新潮文庫などのほかの文庫)を買って読んで現在に至っている。
ところで、なぜ岩波文庫なのかは皆さんわかっていますよね。それは、歴史的(世界史・日本史の教科書を参照)、哲学的(倫理の教科書参照)、文学的(文学史のテキスト参照)に重要な本がたくさんあるからである。新潮文庫のように、他社の文庫にも重要な文献があるが、岩波のそれはほぼすべてがそうだといっても過言ではない。そこが岩波文庫の最大の魅力であろう。もっとも、訳文の問題(シェイクスピアは新潮文庫の福田訳が有名かもしれない)、値段の高さ(それゆえか、古本屋では評判がよい)、収録文献(いわゆる右(保守、有力者の権利擁護、国家主義的)の本や現代の小説(たとえば、三島由紀夫)はあまり入っていない)があるので、岩波文庫だけが重要だとは思わないほうがいいだろう。
橋本さんの記事に、「私の3冊」というフレーズがあったので、以前選んだ私の3冊を参考までに書いてみると、以下のようになる。
『レ・ミゼラブル』
『モンテ・クリスト伯』
『ドン・キホーテ(正、続)』
なお、これは学校に寄付することを意識して書いたもので(高校生がこれらを全部買うのはたぶん無理)、これが「私の3冊」とするのは気が引けるが、新潮などでも読める、など厳密な岩波文庫「私の3冊」を選ぶのは私の力では無理なので、お許しを。
まぁ、この記事や昨日の橋本さんの記事を踏まえて、皆さんも岩波文庫を読まれてはいかがでしょうか。