4月27日の読売新聞朝刊地域面・仙台圏27頁によると、仙台高等検察庁の次席検事の講演があり、裁判員制度は「義務ではなく権利」という趣旨の内容だったという。また、「国民の司法参加で、事件が身近になり、治安意識の向上も期待できる」と言ったとも書いてある。
これを見る限りでは、どうも被告人を裁く権利を強調しているようだ(「治安意識の向上」から判断)。
しかし、そもそもは、被告人の無罪を主張する権利、ならびに裁判官をチェックする権利から始まったはずの司法参加(陪審制度のそもそもの起こりの一説。なお、参審制度について、陪審が量刑を判断し、裁判官が事実を認定するようになって成立したと言う説がある。以上は、ラードブルフ『法学入門』(東京大学出版会)に書いてあることである)のはずだが、そう言ってしまうと、批判の矢面に立つのは裁判官ならびに検察官になるので、それはまずいということでこのような内容の講演になったのだろう。
とにかく、皆さんが裁判員になったときは、被告人を裁くという意識より、裁判官が被告人を罪に陥れていないかをチェックするという意識で参加してほしい。そういう意識があって初めて司法参加が実のあるものになると思う。