清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

安田さんへの 批判はほとんど 筋違い(2)

「安田さんへの 批判はほとんど 筋違い」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/32759221.html)の続編です。

光市母子殺害事件の被告人の弁護に当たる、安田好弘弁護士ほか21名への批判は、先週(5月27日~6月2日)も続き、今週も、今日発売の「週刊ポスト」で批判されている。しかし、上述の記事のように、その大半は筋違いである。上述の記事に書いていない内容で、この事件や、弁護士について気づいたことを書いてみる。

1、差し戻し審において、「起訴事実の全面的な見直しを訴え」(週刊新潮6月7日号『特集 光市裁判に終結した「政治運動屋」21人の「弁護士資格」を剥奪せよ』p32)てはいけないわけではない。たしかに、裁判所法第4条にあるように、「上級審の裁判所の裁判における判断は、その事件について下級審の裁判所を拘束する」。しかし、これは、上級審までの事実、証拠、法律問題について下級審を拘束するだけであって、新たな証拠の提出をして「起訴事実の全面的な見直しを訴え」るのを禁止する趣旨ではない(松尾浩也刑事訴訟法(下)』(弘文堂法律学講座双書)p238参照)。だから、弁護士を批判するならば、新たな証拠でない旨の批判をしなければならない。

この論点について、土本武司教授が「今回の裁判は、検察が主張した事実関係と法解釈が裁判所によって完全に認められ、残る争点は量刑のみです。だから、量刑の主張は許されますが、原点の事実関係に戻って“傷害致死だ”などと主張するのは、本当におかしい」(週刊新潮6月7日号の特集p34)とおっしゃったらしいが、この記述は上記の理由により間違い。法曹の偉い先生(最高検察庁の検事だった)でも間違えるんだな。

2、よみうりテレビの「たかじんのそこまで言って委員会」において、橋下徹弁護士が、安田弁護士らの懲戒を呼びかけたそうだ。それについては、以下の感想を持った。

(1)橋下さんも弁護士ならば、「私は安田さんほか21名より、素晴らしい弁護をして見せます」と言って、被告人の少年の弁護をすればいいのに。

(2)それはさておき、自分の気に入らない弁護だからって、弁護として特に問題のない(傷害致死については1参照。死刑廃止については上述の「安田さんの 批判はほとんど 筋違い」でも書いたように、それが被告人の利益になっているので特に問題はない。死刑廃止立法府で訴えるべきだとは思うが、だからと言って死刑廃止の信念を持って弁護をすることが問題だとはいえないだろう)ことをしている弁護士は実際には懲戒されないだろう(仮に懲戒されても戒告で終わるんじゃないか。弁護士法第57条第1項第1号。もっとも懲戒事例はよく知らないけど)。

(3)「こんなことなら、申告漏れのときに懲戒請求をしておけばよかった」(「弁護士は、当然(中略)税理士の事務を行うことができる」(弁護士法第3条第2項)とあるのに、税金をきちんと申告していないのでは「職務の内外を問わずその品位を失うべき非行」(同第56条第1項)と言わざるを得ない)と後ろ指を差されないように祈る。