。第12回(2007年)全国中学・高等学校ディベート選手権大会が行なわれ(サイトはこちら。http://nade.jp/koshien/2007/index.html)、
中学、高等学校とも、創価が優勝したそうだ。おめでとうございます。参加された皆さんにとって、とても有意義になったことでしょう(私のとき(1990~92)は、このようなイベントはなかったな)。
それはさておき、ディベートの題には結構面白いものがあった。以下、それについての私見を披露したい(以下、2007年8月27日読売新聞朝刊13頁(仙台では)参照)。
1.「小売店の深夜営業禁止」是か非か(決勝では、優勝した創価中学校(東京都)が「是」、準優勝の神戸大学発達科学部付属明石中学校(兵庫県)が「非」の立場でディベートした)。
これは難しい。是の創価中学校の理由の「無駄な競争の激化」、「超過労働を招く」も、非の神戸大学発達科学部付属明石中学校の理由の「雇用の減少」、「緊急時に困る」も、ともになるほどだと読んで思った。今の政治状況で(自由民主党政権下で)深夜営業禁止が実現されるとは思えないが、もし実現されるとしたら、労働者サイドの政権になって超過労働が強調された場合か、地球環境が深夜営業を許さなくなるときであろう(電気を喰うから)。
2.「18歳以上に選挙権」是か非か(決勝では、北嶺高等学校(北海道)が「是」、創価高等学校が「非」の立場でディベートした)。
これは是の立場が妥当だと思う。たしかに、北嶺高等学校の人が本番で言った「未成年者の政治参加の増加」がメリットかはわからない。ただ、国際社会では児童は18歳未満であり(児童の権利に関する条約第1条参照)、18歳以上で選挙権が付与される国は多いそうなので、是の立場が妥当だと思う(ついでに言うと、高校を卒業したら働く人も多いわけで(調べていないが、中学校卒業で働く人よりは多いだろう)、それを考えても是の立場が妥当)。一方、創価高等学校の「無批判な有権者の増加」の理由は、若年者の低投票率が言われている現在では理由になろうが、18歳で選挙権が付与された他国で実際にそうだったかはわからない。
3.「日本は18歳青年に半年間の社会奉仕活動を義務づけるべきである。是か非か」(即興ティベート(当日出題。資料は使えない)の決勝問題。東海大学付属高輪台高等学校(東京都)が「是」、昭和薬科大学付属高校(沖縄県)が「非」の立場でディベートした)
これは、本番では、是と主張した東海大学付属高輪台高等学校が優勝したが、資料が使えれば、非が絶対勝つと思う。というのは、憲法18条の「その意に反する苦役」(広く本人の意思に反して強制される労役(たとえば、強制的な土木工事への従事)の意。もっとも、災害の発生を防御し、その拡大を防止するため緊急の必要があると認められる応急措置への業務への従事は、本条に反しないそうだ。芦部信喜『憲法(新版補訂版)』岩波書店参照)に該当するからである(ついでに言うと、市民的及び政治的権利に関する国際規約第8条第3項第(a)号(日本もこの条約を批准)にも、「何人も、強制労働に服することを要求されない」と書いてある(本問の場合第(c)号(ⅲ)「社会の存立又は福祉を脅かす緊急事態または災害の場合に要求される役務」ともいえない。なお、同号(ⅳ)の「市民としての通常の義務とされる作業又は役務」かどうかは留保))。
なお、実際のディベートでは、是とした東海大学付属高輪台高等学校は「奉仕活動の活性化」を主張し、非とした昭和薬科大学付属高校は「社会奉仕の意義の希薄化」を強調したそうだ(これについては、どちらともいえない)。