清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

橋下さん 訴えられるの わかるよな

(*以下は、9月5日訂正)
橋下徹弁護士が、光市母子殺害事件弁護団の2人、今枝仁、足立修一他計4弁護士から訴えられたという(右記のTBSのサイト参照。http://news.tbs.co.jp/part_news/part_news3648819.html)。
但し、すぐ消える可能性があるので、以下に要約を載せます。

(TBSのニュースの要約)
山口県光市で起きた母子殺害事件で、被告の元少年の弁護士ら4弁護士が、橋下徹弁護士にテレビ番組で業務を妨害する発言をされたとして、1人当たり300万円、総額1200万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
 
弁護士らによると、橋下弁護士が今年5月、読売テレビたかじんのそこまで言って委員会」(但し、この番組を買っているテレビ局は多い。仙台ではミヤギテレビで日曜午後1時30分から放送。「NHK杯テレビ囲碁トーナメント」や「アタック25」(ABC、テレビ朝日系全国ネット)の方が個人的に面白いと思っているので、見たことはない。ゆえに、この番組の記事に関しては、又聞きになります。ご了承を。ただ、意見が主なので、内容に問題はないと考えます)で、弁護団の懲戒処分を弁護士会に請求するよう視聴者に不当に呼びかけて業務を妨害したとして、原告の弁護士1人あたり300万円の損害賠償を求めているという。
(要約終了)

この件に関しての感想は以下の通り。

1.この訴えが認められるかはわからない。というのは、懲戒請求がされたら、どのくらい業務が妨害され、損害があるのかがわからないからである(もし故意であれば、業務妨害罪(刑法第233条)の可能性があり、判例によると、妨害の危険を生ずれば足りるという危険犯なのだそうだ(実質的な損害も、外形的混乱・支障の生起も必要ないのだそうだ。西田典之『刑法各論』(引用初版。第4版での確認を請う)(弘文堂法律学講座双書))。せいぜい、精神的苦痛(民法第710条参照)が認められるぐらいではないだろうか。
*9月5日に、『週刊現代』(9月15日号)を立ち読みしたが、反論のために仕事が出来ない状態になっているそうで、それなら損害が生じているかもしれないと思った。もっとも、原告の言い分なのでなんとも言えないが。

2.ただ、訴える気持ちはわかる。一生懸命弁護をやっているのに、外から一方的に罵倒されたら、なんか法的手段をとりたくなるわな。

3.それでは、橋下弁護士はどのように考えているのだろうか。試みに、橋下徹弁護士の「橋下徹のLawyer's EYE」(http://hashimotol.exblog.jp)
の、「光市母子殺害事件弁護団緊急報告集会出席報告(1)~(5)」をざっと読んでみた。以下、印象に残ったところを引用しつつ、論じてみよう(以下、清高が空白部分を埋めた。また、(1)~(5)は連載の番号、,覆匹蓮▲灰瓮鵐箸糧峭罎鮴狭發振ったもの)。

(1) 嵋佑発言していたときに、後ろの方から野次を飛ばしてきやがった。僕の育った地域は穏やかなところじゃなかったし、こういう卑怯なやり方は嫌いだから、振り返って「誰や、手ーを挙げ!!前に出てきてみい!!」と迫ったんだけど、そいつは前に出てこず。自分の名前も明らかにせず、後ろの陰の方から人を批判するという、チンカス人間典型の弁護士が、きっちりとこの集会を支えるメンバーとして来場していました。
そして結論、この弁護団の弁護活動が「所属弁護士会の信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行」に該当することを確信した。完全に懲戒事由にあたる。」→これはTVで懲戒請求がある旨の発言と関係ないな。

◆崢┣﨨禅瓩違法となるのは、明らかに懲戒事由が存在しないのに、それを分かっていながら懲戒請求をかけた場合。特に弁護士が不用意に相手弁護士に対して懲戒請求をかけた場合なんだ。」→差し戻し審に限って言えば、明らかに懲戒事由が存在しないな(私の記事全体を読めば、わかります)。

(2) 屐屮泪好灰瀛麁擦されないため」って、あんたらのアピールの仕方が悪いからじゃねえか。」→これは違うな。橋下さんだって弁護士なのだから、弁護団に対する感情は脇においといてきちんと説明すりゃいいじゃないか。また、マスコミが都合の悪い情報を切り捨てることは十分ありうるよ(この程度のことも知らないとすれば、橋下弁護士メディアリテラシーがないということになる)。

◆嶌2鵑諒杆鄰弔紡个垢觴匆馘批判を収めるために何をしなくちゃいけないのか、こんなの誰だって分かるでしょ、世間に対する説明なんだよ。」→TVをよく見ればしているし、本も出している(『光市裁判 テレビはなぜ死刑を求めるのか 年報・死刑廃止〈06〉』(インパクト出版会))。この批判は筋違い。

(3) 嶌2鵑諒杆鄰弔亮臘イ荒唐無稽であること、あまりにもふざけた内容であること、この点については批判はしません。」→これが一番大事なのだけど。すなわち、今回の弁護団の主張が被告人の権利・利益を守っているかが一番大事なのだが、このことに関しては無視するんだ。

◆(懲戒理由を)一言で言えば、説明義務違反、被害者に対して、国民に対してのね。」→(2)△汎韻犬、筋違い。

「一審・二審で全く主張していなかった、新たな主張をなぜ差し戻し審で主張することになったのか。」」→「一審・二審で全く主張していなかった、新たな主張を」「差し戻し審で主張する」ことは別に問題ないでしょう(松尾浩也刑事訴訟法』(弘文堂法律学講座双書)も調べていないんじゃ、実務家としての能力を疑うね)。

ぁ崑莪譴鉾鏗下圓悗(中略)説明を怠っている。今回新たな主張を展開することによって、判決が遅れる。これによって一番苦痛を被るのは被害者だ。」→被害者の方が質問すればいい(刑事訴訟法第292条の2。ついでに言うと、裁判官も質問の予定と聞いている)

ァ岼貎魁ζ鷽海任枠鏐霓夕身もその犯行態様を完全に認めており、最高裁までもその点については事実誤認は全くないとしていることについて、差し戻し審でこれまでの主張と全く異なる主張をするのであれば、なぜそのような新たな主張をすることになったのか、裁判制度に対する国民の信頼を失墜させないためにも、被害者や国民にきちんと説明する形で弁護活動をすべきだ。その点の説明をすっ飛ばして、新たな主張を展開し、裁判制度によって被害者をいたずらに振り回し、国民に弁護士というのはこんなふざけた主張をするものなんだと印象付けた今回の弁護団の弁護活動は完全に懲戒事由にあたる」→「国民に弁護士というのはこんなふざけた主張をするものなんだと印象付け」ないように説明するのは、TVによく出ている橋下さんの仕事だよ。それを、弁護団のせいにするほうが問題でしょう。差し戻し審に限っていえば、懲戒事由がないと思うので、(1)△埜世┐弌違法な懲戒請求なんじゃないの?

(4) 嵋佑函▲ルト集団弁護士の決定的な違いは、被害者や国民に対しても配慮するかどうかという点。」
「ここで配慮というと、被害者や国民に配慮して、被告人の利益をおろそかにするのか!とカルト集団弁護士にヒステリーを起こされそう。
そうじゃない。一般的な世間の感覚での配慮、いわばマナーみたいなもの。」
→はっきり言って、「カルト集団弁護士」(こんな表現をネットで使ったこと自体が懲戒事由(弁護士法第56条第1項)ですよ、橋下センセイ。なお、第4回以外にも問題のある表現が多かったことをつけ加えておく(いちいち引用はしない))の主張にも一理あると思うけど(やはり、依頼人の利益より相手方当事者や国民を重視は出来ないだろう)。

◆嶌嚢盧曚亡鍗鋙臉覆力⇒蹐鬟侫.奪スでしただけ。これまで世間の風にさらされていなかった弁護士業界では、そんな非常識がまかり通っていたんだろう。(改行)おいおい、まずは被害者遺族に連絡するのが筋だろ!」→これは、そのとおりだとは思うが、個人情報の取り扱いは今では結構厳しいから、難しいかも(被告人の防御のために住所を明らかにするのであって、弁護士の謝罪のためではない。ついでに言うと、最高裁があらたに設定した期日に、弁護士が謝罪したということをTVで見たことがある。この点からも、橋下弁護士の主張は適当でない)。

「途中で弁護人に就任したんだったらそういうこともあるだろう。それだったら、日弁連の模擬裁判のリハーサルなんて持ち出さずに、準備不足なので時間を下さいと、広島まで出向いて、被害者遺族に頭を下げる、そして、ひたすらお願いし続ける。」→理想はそうだろうが、何件も事件を抱えている弁護士のことだから、忙しかったんだろうな。

(5)(なぜか、話は別の事件に飛んでいる)「麻原弁護団は、2審において、自分たちの主張を裁判所が聞いてくれないからと言って、期限が決められている書面の提出を拒んだ。控訴趣意書という書面なんだけど、この書面の提出を期限内にしなければ、裁判は打ち切られることに「法律上」なっている。この期限は厳しいんだよ。もちろん、期限の延長もあるけどね。これは、刑事裁判は被告人のためだけにあるわけではないからなんだ。被害者遺族もいるし、何よりも社会の秩序にかかわる社会の関心ごと。被告人のためだけに延々裁判を続けることはできない。」→これは違うんじゃないか。死刑を言い渡された者は特赦又は減刑を求める権利があるんですぜ(市民的及び政治的権利に関する国際規約第6条第4項参照)。それを無視して死刑を争う道を閉ざした裁判所を批判すべきではないかな(なお、死刑以外は橋下弁護士の説が正しいと個人的には思う)。

◆屬海諒杆鄰弔やった行動こそ、まさに究極の人権侵害!!」→上記同様、裁判所が裁判を打ち切ったことが人権侵害ではないだろうか。

「麻原死刑囚には死刑が執行されないまま、法務大臣の引き継ぎ事項になるんじゃないかと危惧している。その全責任は麻原弁護団にある」→死刑執行の責任って弁護団なの?(正しくは、法務大臣刑事訴訟法第475条第1項参照)

ぁ峩杁渊顕颪任蓮∧杆鄰弔亮臘イ鬟瓮妊アが取り上げてくれない、世間は分かってくれないと愚痴ばっかり言っていたけど、それは手前らの表現の仕方が稚拙なんだよ。メディアで取り上げてもらうように説明しろって言うんだ!!」→(2)‘瑛諭橋下弁護士が説明しなさい!

ァ屬舛腓辰帆阿縫謄譽咾埜たけど、いかにも世間を知らないような弁護士が、母子殺害事件の被害者の首についた被告人の手の痕と裁判所が認定した被告人の犯行態様が違うと、ぶつぶつ言っていたけど、そんなことは裁判で言え!!」
「どうでもいい事実の違いを延々述べている。その程度の事実の違いはどうでもいいんだよ」
→説明したら罵倒ですか?あと、事実の違いは刑罰の軽重に響くから(最高刑が死刑か懲役30年か(刑法第205条、第47条参照))、こういうことは、特に弁護士であれば言ってはいけないんじゃないか?

Α嵎杆鄰弔やるべきことは、一審・二審で主張しなか(ママ)ことを、なぜこの期に及んで主張するのか。」→それは証拠を新たに発見したからじゃないの?

以上、検討したが、はっきり言って、橋下弁護士の勉強不足などが目立つ内容で、この程度で懲戒請求されたり、インターネットという公の場で罵倒されたら、やはり、たまったものではないな。
*軽々には言えないが、弁護士であれば、今回の弁護団の活動は懲戒事由に当たらないことを予見すべき(一般人より)高度の注意義務があるかもしれないので、この点からも、原告の訴えが認められる可能性があるかもしれない。