清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

冤罪から 教訓導く 大事だよ

富山県の冤罪事件が、再審で無罪になった。とりあえず、よかった。

冤罪からどういう教訓を導くかが実は大事だ。その点からすると、今日の讀賣新聞の社説(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20071010ig91.htm)は問題が多い。以下、検討する。

1.「国選弁護人としてついた弁護士も、男性を犯人と見て対応した。男性が取り調べの不当さや身の潔白を強く訴えなかったこともあるが、5年前の裁判では最初から罪を認め、控訴もしなかった。弁護士の側も教訓としなければならない。」→弁護士としては、意外と教訓を導き出すのは難しいのではないか。「男性が取り調べの不当さや身の潔白を強く訴えなかった」のであれば、なおさら。事実を争うのはリスクが大きいだろうからである(反省していないと取られかねない)。また、取調室の雰囲気、捜査機関側のテクニックなどを考慮すると、「男性が取り調べの不当さや身の潔白を強く訴えなかったこと」を責めることもできない(試みに、浜田 寿美男『自白の心理学』(岩波新書)をご一読ください)。

2.「警察庁は、緻密(ちみつ)で適正な捜査を求める通達を全国の警察本部に出した。証拠収集の徹底など、いずれも基本的な内容だ。両事件とも、捜査幹部はどんな指揮をしたのか。幹部の育成方法なども見直す必要がある。」→これも大事だが、こうしても冤罪を防ぐことができるとは思えないな(人間はミスをする動物だから。本は明示できないが、心理学的にも正しいようだ)。むしろ、冤罪を前提とした制度設計をすべきだ(懲役刑に関しては、今回のような法運用でもやむを得ないと思う。〃沙?篏?禄个襪(増額は検討すべきだろうが)、∈匿海枠鏐霓佑僕利な新たな証拠を検討する場で、捜査の違法性を調べる場ではないし、9餡版綵?禅瓩覗楮困琉稻\を追及するのが法の予定しているところだからである。しかし、死刑に関しては、あとで間違って執行されては取り返しがつかないので、廃止(なり、執行停止)して、代替刑を模索すべきである(終身刑、現行の無期懲役と別種の無期懲役刑、現行の無期懲役刑に統一、など))。

3.「一部の国では導入しているが、例えば英国では、黙秘権がないに等しい。日本は無罪判決は全体の0・1%にとどまるが、英国では4分の1が無罪だ。刑事司法制度の違いを考慮せずに可視化だけ導入しても、解決する問題ではない。」→「被疑者の取り調べの全過程を録音・録画すべきだとする「可視化」論議」は当然だが、この議論はおかしい。なぜ英国に黙秘権がないこと(詳しくは、『「人権」を問う―被害者の「人権」はどうする!! 』(板倉宏著 音羽出版 。図書館などでご一読を)などをご参照ください)を出すのだろう。取り調べの可視化を採用している国はどこも黙秘権がないのか。「日本は無罪判決は全体の0・1%にとどまるが、英国では4分の1が無罪だ」ということも可視化を慎重にする理由にはならない。見逃されている冤罪もあるだろうし、可視化したから4分の1が無罪になっているかもしれないからである。「刑事司法制度の違いを考慮せずに可視化だけ導入しても、解決する問題ではない」のかもしれないが、刑事司法制度の違いを「過度に」考慮しても、意味がないのである。

讀賣の社説を書かれた方、捜査に携わっている方、国会議員の方、内閣を組織されている方に猛省を促したい。