週刊東洋経済2008年1月26日号の、「特集 スポーツビジネス完全解明」を読んだ。なんでもそうなのだろうが、この特集も、いいところと、悪いところがあった。以下、指摘したい。なお、私は、バスケットボールを詳しく見たので、その内容が多くなることをご了承願いたい。また、全部は読んでいないので、内容は一部だけであることもご了承願いたい。
1.まず、いいところから。
(1)企業の損失補填契約を批判し、独立採算にすべき旨の提言(p48)はよい。
(2)p64からの「プロ・アマ混在するバスケット―野武士bjと“財界リーグ”JBL バスケの“ビッグバン”は来るのか」を詳しく読んだが、そのなかで、なぜ今までの企業スポーツが成り立っていたのかのヒントが満載だったところがよかった。たとえば、「事業拠点を全国に拡充する企業にとって、社内チームが地方興行することに大きな意義があった」(p65)、「トヨタなど資金力のある企業にとって、年間数億円の活動費負担は重くならず、それらをはかりにかけた結果が「現状維持」なのだろう」(同)、「興行権があっても処理が煩雑なだけ」(引用ではないが、このような内容もあった)。
2.次に、悪いところを。
(1)浦和レッズの成功の一つは、たしかに「地域密着」だが、やはり、埼玉スタジアム2002の容量も大きいのではないか(ついでに言うと、5万人収容の宮城スタジアムがあってもベガルタ仙台が苦労しているのは、そのスタジアムのアクセスが悪いから(利府まで行ってバスに乗らなければならない。埼玉みたいに電車を降りてすぐではない))。このことからすると、日本のプロスポーツが苦戦しているのは、観客収容が貧弱なことが一因なのではないか。そうなると、貧弱な施設の改善を提言すべきではないか。
(2)サッカーチームの比較が恣意的。(純利益)黒字チームは浦和だけか。せいぜいJ1すべてのデータを出すべきである。
(3)私は最近、バスケットボールをよく見るので、以下のことが気になる。それは、JBLが国内最高峰で、bjリーグが2番手だというところである(p64)。理由は、以下の2点。
。複贈未硲癸螢蝓璽阿離繊璽爐試合をしたことがないのに、なぜJBLが最高峰でbjが2番手だとわかるのだろう。OSGvs福岡の試合が組まれていたが、バスケットボール協会が試合を中止させたというのが真相のよう(「月刊バスケットボール12月号」や、asahi.comに載っていた)であり、そうならば現時点では協会サイドが逃げていると言わざるを得ず、JBLが国内最高峰だということはできないのではないか(試合をやって、OSGが勝って、やはりJBLが最高峰だという風にすべきだった)。
■癸蠅本当に2番手であればいいのだけれど。bjのドラフトで指名された選手のJBL2の栃木に行ってみたり、bj埼玉の選手が、同じく栃木に行ってみたりと、選手はbjよりJBL2がいいと思っているかもしれないからである(これからは、鹿児島なども参入し、すぐのJBL昇格が予想されるので、この流れに拍車がかかるかもしれない)。
(4)バスケットボールの選手の年収の比較も恣意的。JBLだと有力選手なのに、bjだと平均なのはなぜか。どちらも同じ条件(bjも有力選手にするか、JBLも平均にすべき)で比較しないならば、事実を検証するジャーナリズムとしては失格だろう。
(5)世界各地でバスケットボールのプロがあるが、なぜ(実業団形式ではなく)プロになるのかも研究してほしかった。
(追記―2007年1月26日記)
1.2(2)の比較対象は、名古屋、横浜M、鹿島、磐田です。すべて企業チームが母体という意味ではいいのだが、本文どおり、全部出した方がよかった。
2.bjリーグの、東京アパッチvs仙台89ERSのレポートはひどい。センターのパトリック・ワーティー選手は、確かにブラジルでプレーしていたが、「ブラジル人」ではないぞ(外国人4選手の誰1人して、ブラジル人はいない)。東京の日本人とアメリカ人は誰だよ。ちゃんと書かないとわからないじゃないか。あと、「少数派」は間違いないだろうけど、決め付けはおかしいんじゃないか。両チームのブースター(bjリーグ(やNBA)のファンのこと。JBLでは聞いたことがない)に失礼だ。