今日の讀賣新聞朝刊34頁(仙台では)には、弁護士関係の記事が2つ載っていた。
メインは、「新人弁護士の年収減」。ただ、これは、法科大学院で想定されていた企業の法務部への就職が含まれていない点で、ずさんな調査といえようか。すなわち、既存の弁護士業務のパイ(弁護士(法律)事務所しか調べていない)にたくさんの人が群がれば年収が悪くなる人がいるのは当然な反面、今までには想定されていない就職先(たとえば、企業法務。企業は採用予定はあるのかを調べた方が今後に有益)の人がどれくらい収入があるかを調べていない不十分な調査である。
次は、小さな文字で「光事件弁護団への懲戒請求8,095件」とある。当ブログでは、こちらをメインに論ずる。
上記新聞によると、「昨年1年間の弁護士に対する懲戒請求件数は9,585件で、1,367件だった前年の約7倍と過去最多に上」り、全請求件数の84%に当たる8,095件は、山口県光市母子殺害事件の弁護団に対するもので、日弁連は「弁護士の非行行為が急増したとはとらえていない」そうだ。
しかし、何度考えても、「光事件の弁護団」が懲戒される理由は、ほとんどないと思う。
私の知る限り、唯一理由がありそうだと思ったのは、被害者の方が出された、上告審の弁護士2名に対するもの。欠席が被害者の方をないがしろにするものだと思うからである(もっとも、欠席した弁護士に理由があり、遅延の目的もなかったとして、懲戒されなかったが、釈然としない読者も多かろう)。
だが、少なくとも、差し戻しの控訴審に関しての懲戒請求は、理由をすべて見たわけではないから断言できないが、おそらく理由がないであろう。
まず、差し戻し審だからといって、今までと違う事実を争ってはいけないという根拠はない。未確認だが、差し戻し審の弁護団の主張は、最初から被告人が言っていることなのだという(これを控訴審までの弁護人は特に取り上げていなかったようだが、被告人に有利にならないと思ったからと思われ、この点からも問題はない)。
主張が荒唐無稽で、被害者感情を逆撫でにするというのも理由としてどうか。
被害者感情を逆撫でにする主張が、被告人に利益になれば(刑が軽くなる可能性があれば)、主張するのは弁護士として当然ではないか。これに付随して、「ドラえもん」などは、弁護団の創作だという説もあるが、少年の方がドラえもんに親しいものと思われ(弁護士は忙しいから、ドラえもんを知らないことは想定できようが)、被告人に聞かない限りは、弁護団の創作と断言してはいけないのではないか(母胎回帰についてはよくわからないが、これも被告人に聞かない限りわからないことであり、安易に弁護団を批判してはいけない)。
被害者や社会に対する説明責任を問う声もあるが、それは傍聴するなり、後で新聞を見ればよいことである。また、この弁護団は、本も出しているので(『光市裁判 年報・死刑廃止2006』インパクト出版会)、全然理由になっていない。
以上、主なものを挙げたが、私の知る限り、「光事件の弁護団」が懲戒される理由となりそうなものは、前述の弁護士2名の件を除いて、ない。理由があると思われた読者の方は、ぜひコメント欄にて。