清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

ビラ配り 有罪でバランス 悪くなり

防衛庁立川宿舎内の玄関に、自衛隊イラク派遣に反対するビラを配るために立ち入った複数の被告人が住居(邸宅)侵入罪(刑法第130条)に問われた事件で、最高裁第2小法廷は、被告人の上告を棄却し、被告人の有罪が確定した。以下では、47NEWS(「よんななニュース」と読む)「反戦ビラ配り判決要旨」(http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008041101000677.html
を用いつつ、この判決の妥当性を検討したい。

1.まず、「被告らは防衛庁立川宿舎の敷地内に入り込み、各号棟の1階出入り口から各室玄関まで立ち入った。各号棟の構造や敷地、周辺の土地や道路の状況、管理の状況などから、被告らが立ち入ったのは刑法130条の「人の看守する邸宅」に当た」ることについては特に問題にはしない。

また、本件ビラの内容を表現するには、他の代替手段が考えられるので(演説でも良い)、本件に住居侵入罪を適用することが適用違憲になるということはできない。

2.しかし、それにもかかわらず、この判決の妥当性には疑問がある。理由は以下の通り。

(1)判決要旨によると、「管理者から立ち入りの都度、被害届が出ていることなどから法益侵害の程度が極めて軽微だったとはいえない」とあるが、この認定が妥当かは、疑問がある。「ビラ配り有罪 一つのルールが示された(4月13日付・読売社説)」(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080412-OYT1T00589.htm
(以下、読売社説と表記)によると、「殺すのも殺されるのも自衛官です」などと書かれたビラを受け取った「官舎に住む自衛官やその家族」の心中は察するが、それでも過剰反応だと思う。というのは、 峪Δ垢里盪Δ気譴襪里蘯衛官です」というレヴェルの文章では、脅迫と取るのは難しい(読売社説によると、1審は、「住民が受けた被害は軽く、「刑事罰を科すほどの違法性はない」として無罪とした」そうだが、おそらくそう取られるレベルの文章だったのだろう。もし違うのであれば、全文リンク願います)、読売社説によると、「メンバーは月1回の頻度で、各戸の前まで立ち入り、新聞受けに配布を繰り返した」とのことだが、月1回ぐらいでは、忘れた頃にやって来るようなものだから、以上2点により、(大変申し訳ないが)過剰反応であり、「法益侵害の程度が極めて軽微だった」可能性を否定できない。

(2)読売社説によると、「マンションなどのポストには、宅配ピザや不動産情報など、様々なチラシやビラが投函(とうかん)される。こうしたチラシやビラを重宝にしている住民も多い。(原文改行)ピンクチラシの配布は風俗営業法で禁止されているが、一般のチラシやビラの配布まで警察が摘発するのは、現実的ではない」とのことだが、_召法宅配ピザなどのチラシが迷惑だとしたら(そう思う人も皆無ではないだろう)、これを警察が摘発しなければ、不公平である(ビラ配りの態様は同じだから)。◆嵒集修亮由は、自己統治の価値にあるから、営利的言論の自由の保障の程度は、非営利的(すなわち政治的)言論の自由よりも低い」(芦部信喜憲法(新版補訂版)』(岩波書店)p172)とするならば(この説明に問題はあるまい)、むしろ本件のビラ配りこそ保護されなければならない(現実には、宅配ピザなどにも住居侵入罪を適用するか、情報配布については住居侵入罪を適用しないか、どちらかしかない。もっとも、条文上の根拠がないのが難点だが)。

(3)最近、右翼の街宣車による表現行為により、集会が妨害されたり、表現行為を恐れて集会や上映を中止したりする事件を耳にする。これらの事件で、右翼に威力業務妨害罪(刑法第234条)が適用されたという話を聞かない。私は実際に体験したのだが(金剛山歌劇団の公演会場の近くにいた)、うるさくて仕事ができない。このような行為は罪に問われず、月1回程度のビラ配りが罪に問われるというのでは、均衡を失する。

3.ところで、最近、私は、『死刑の遺伝子』(島田荘司=錦織淳 南雲堂)を読んだが、それによると、死刑存置は、共産主義弾圧のためらしい。それが本当かはわからないが、今回の事件が、特定の考えを弾圧するために刑罰権を行使したのならば、由々しきことである。