東京新聞「安田弁護士に逆転有罪 強制執行妨害 高裁、ほう助認定」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008042402006093.html)
によると、「旧住宅金融専門会社(住専)の大口融資先だった不動産会社の資産隠しを指南したとして、強制執行妨害罪に問われた弁護士安田好弘被告(60)の控訴審判決で、東京高裁は二十三日、一審の無罪判決を破棄、罰金五十万円の逆転有罪を言い渡した」という。
上記のサイトによると、この事件は、検察側証人(不動産会社元従業員)の信用性、並びに、行為の解釈の違いが争われた。記録などを見ていないので何とも言えないが、おそらくそんなに簡単な事例ではないのだろう。
なお、この事件の弁護人は、1審1,200人、2審2,100人だそうだが(MSN産経ニュース「弁護士・安田好弘被告に逆転有罪判決 東京高裁」(http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080423/trl0804231356005-n1.htm)
)、,修譴世叡膣屬いることが想定される(世間で言われているほど問題のある人物ではない可能性が高い)、△海譴有罪となると一般的な弁護活動に重大な脅威になる、以上2点の事情があるのではないかと推察する。
ところで、この事件、結構異様である。オウム真理教教祖の裁判中の逮捕のうえ(公訴時効の関係でで仕方がないが)、「罰金五十万円(最高刑懲役2年。なお、罰金50万円は、この罪では最高額)で済む罪で三百日近い拘置を強い」られたという(上記東京新聞記事)。否認しているとはいえ、専門家がやっていることでこれだけ「拘置」されるのは、素人考えながら信じられない(もちろん、専門家だから身柄が拘束されないことはないが(刑事訴訟法第60条第1項)、法に触れないと思ってやっているのだから、証拠隠滅をするとは思えない)。
罰金刑の判決が出たが、検察はどう動くのだろう。上告して争うのだろうか。そして、その目的は、安田さんの弁護士資格剥奪なのだろうか(弁護士法第7条第1号によると、「禁固以上の刑に処せられた者」は、「弁護士となる資格を有しない」。罰金は禁固より軽いので資格はなくならないが、懲役に処せられ場合は資格がなくなる)。上記の異様な経過もあわせて考慮すると、弁護士資格剥奪が目的のようにも思ってしまう。
植草克秀さん(ケインズ経済学の信奉者のようで、小泉政権がベースとしている新自由主義の考え方と対立する)、佐藤優さん(外務省のラスプーチンと言われていた)、田中森一さん(弁護士。裏の社会の守護神と言われた)なども、国家権力の陰謀と言うことがあるが、このような事件を見ると、そんなこともあるのかな、と考えてしまう。
最後に、東京新聞の記者さんは、ちょっとそそっかしいようだ。というのは、この事件は、裁判員制度の範囲外だからだ(「裁判所法第26条第2号(死刑又は無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁固に当たる罪)に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの」ではないから。裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条第2号)。
*なお、この記事は、展開上、実名を表記しました。