今日の読売新聞1面などによると、「結婚していない日本人男性とフィリピン人女性から生まれた後、日本人男性に認知されたフィリピン国籍の子どもが、両親が結婚していないことを理由に日本国籍に取得が認められないのは違憲だとして、日本国籍の確認を求めた2件の訴訟の上告審の上告審判決」において、「父母の婚姻を国籍取得の要件とする国籍法(第3条第1項―清高注)の規定は、憲法14条が保障する「法の下の平等」に反するとし」て、原告の日本国籍を認めたという(判決要旨は「毎日.jp」から。http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080605ddm012040072000c.html
)。
まず、母親が日本人とわかっている場合、日本国籍が取得できることに問題はない(国籍法第2条第1号)。
それに対し、父親が日本人、母親が外国人(ともに死亡していないものとする)の場合は、事情がややこしい。
〃觝Г靴討い譴弌◆崕仞犬里箸に父」「が日本国民」(国籍法第2条第1号)なので、子は国籍を取得する。
結婚していない場合でも、父が胎児の間に認知すれば、「出生のときに父」「が日本国民」なので、子は国籍を取得する。
子が生まれたあとに父が認知した場合(国籍法第2条第1号「出生のときに父」「が日本国民で」ない場合)は、その後母と婚姻しないと、日本国籍を取得できない(国籍法第3条第1項によると、「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であった場合を除く。)は、認知した父」「が子の出生のときに日本国民であった場合において、その父」「が現に日本国民であるとき」「は、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる」から)。
そうなると、認知の時間や、婚姻の有無で国籍が取得できるか否かが決まることになる。これらは、子に責任のないことであるが、これを要件にするのが妥当かが争われたものである。
本件の場合は、無国籍ではないので、それでいいということも可能である。しかし、そうなると、参政権などの行使が出来なくなる(2008年6月5日読売新聞社会面35頁(仙台では)参照)。これが妥当か。
反対意見が言うように、帰化制度によることが著しく不平等とはいえないとも思うが、いつ認知したか、婚姻があったかどうかで国籍取得の要件が異なることを重視した判決だといえよう。
なお、条文を違憲とするか、立法不作為を違憲とするかでも争われているようだ。