東京新聞「秋葉原通り魔 7人死亡 トラックで突入、刺す」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008060902000066.html)
によると、「東京都千代田区外神田四の秋葉原電気街で八日午後零時三十分ごろ、トラックが歩行者天国の路上に突っ込んで人をはね、車から降りてきた男が両刃のダガーナイフで通行人や警視庁の警察官を次々に刺した。男女七人が死亡、十人が重軽傷を負った」という。
現行犯(か緊急逮捕だろう)とはいえ、まだ判決が言い渡されていない段階なので無罪を推定しなければならないが、このような犯罪は誠におぞましく、何の関係もない人を7人も殺しているので、極刑はやむを得ないだろう。すなわち、日本では、死刑である(刑法第9条、第199条)。
ただ、死刑で終わりとして、これ以上この事件から教訓を導かないならば、被害者の方も浮かばれないだろう。
まず、当然のことながら、被害者の方の意見を聞くこと、十分なケア、金銭的な補償、以上3点は当然である。
しかし、それだけで終わってはいけない。
最近、自暴自棄になって人を殺す事件をよく聞く(その中には、「死刑になりたかった」と供述しているものもある)。実際の件数は把握していないが、確実に言えることは、このような事件において、死刑が無力だということである。すなわち、死刑には凶悪事件を抑止する力はないとするのが妥当である(この事件だけで結論付けるのは早計だし、他にも論点があるので死刑は絶対にダメと短絡的には言えないが)。
また、この事件の被疑者は、某派遣会社に登録し、トヨタ系の自動車工場に派遣されたという(「被疑者(当ブログでは、被疑者は原則匿名のため、名前を伏せた) 派遣の工場で勤務 トラック、7日夕に予約」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008060902000063.html)
)。
飛躍があるのを承知で書くが、現代の矛盾が出た犯罪の可能性がある。
この派遣会社がどうだかわからないので断言は控えるが、一般論として、派遣会社の労働条件が劣悪なのは皆様もご存知だろう(正社員が差別する、すぐクビになる、など)。
派遣先のトヨタ系の自動車工場で働いたことがないから断言は控えるが、系列会社も『自動車絶望工場―ある季節工の手記 』(鎌田 慧 講談社文庫)に書かれたような非人間的な職場だったのだろうか。
重ねて言うが、この犯罪はとんでもないものであり、極刑が妥当な数少ない事例である。しかし、それだけではなく、現実を直視して、社会をよりよくするために知恵を絞って、行動することも大事なのである。