今日の読売新聞朝刊社会面33頁(仙台では)、ならびにYOMIURI ONLINE「東国原知事「“愛のムチ条例”検討に値するかも」」(http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20080619-OYS1T00216.htm)
によると、東国原英夫宮崎県知事が、自由民主党所属の県議会議員の質問に啓発されて、「愛のムチ条例」(仮名)を検討しようとしているという。
「自由民主党所属の県議会議員の質問」と書いたのは、この議員が質問しなければ、こんなくだらないことを考えなかったという意味をこめたものだが、それでも、東国原知事のアイデアは、くだらないものだ。
いわゆる「愛のムチ」は、親権者だけができる(民法第822条第1項。ただし「必要な範囲内で」)。だから、親権者の「愛のムチ」を咎めることは難しい(もっとも、必要以上に「愛のムチ」を加えると、犯罪になる(刑法第204条の傷害罪など))。
一方、学校教育法第11条但書によれば、「体罰を加えることはできない」ので、学校の先生は「愛のムチ」を加えることはできないし(体罰の禁止は世界的傾向だである。『教育言説をどう読むか―教育を語ることばのしくみとはたらき 』(今津=樋田編。新曜社)、『体罰の研究』(坂本秀夫。三一書房)参照) ましてや、赤の他人が「愛のムチ」を加えられる旨の規定はない。
だから条例を作ろうということなのだろうが、一般論として、他人を叩いてはいけないことは当然であり(もちろん、正当防衛(刑法第36条、民法第720条第1項)の場合は別)、相手が子どもだからといってそれが許されるとは思えない。ましてや、子どもを持っている親御さんからすれば、どういう事情があれ、赤の他人から叩かれたら、たまらないだろう。
知事に子どもがいるかはわからないが、もしいるとしたら、かとうかず子さんだって激怒しているだろうし、離婚されてもしょうがなかっただろう。
もしかしたら、知事は人の痛みがわからないほど判断力が鈍っているのかもしれない。頭の薄くなっている部分でも思いっきり叩いてあげようか。