清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

グリーンピース 窃盗でもね 仕方ない

47NEWS「鯨肉持ち出しを事後承認 「犯罪防ぐ緊急性あった」」(http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008062101000246.html
に、メンバー2名が逮捕されたグリーンピース側の言い分が載っている。

読んでみたが、これでも、グリーンピースメンバー2名の窃盗罪(刑法第235条)による逮捕、ならびに、裁判になったときに有罪認定されること、ともに仕方がないと思う。

第1に、業務上横領罪(刑法第253条)の証拠かどうかがわからないからである。「段ボール箱には鯨肉を隠すように作業着が覆いかぶせてあった」からと言って、即横領とはいえないだろう。

第2に、仮に業務上横領罪の証拠だとしても、正当防衛(刑法第36条)が成立するかは難しい。「急迫」なのか(その場で盗まないと証拠がなくなるのか)?「やむを得ずにした行為」なのか(告発(刑事訴訟法第239条第1項)ではなぜいけないのか)?

それにしても、「政府や大企業の犯罪行為を防ぐ緊急性がある場合、結果として法を犯すこともあるのは世界のNGO活動のスタンダード」という言い分も正当性があるとは言いがたい。NGOは法を犯していいのか?国際法上の根拠でもあるのか?

なお、念のため2点。

第1に、運送会社側は、おそらく、横領の証拠とは知らないで運んでいるだろうから、盗品運搬罪(刑法第256条第2項。なお、同条第1項、第253条参照)は成立しない。

第2に、仮に違法な証拠収集だとしても、排除されるかはわからない。違法が重大かがわからないからである(田宮裕『刑事訴訟法(新版)』(有斐閣)p417を参照しました)。

(追記―2008年6月22日記)第3に、この事例、実は、窃盗罪に問うのは、グリーンピースの主張どおりならば、おそらく無理だろうことを付け加えておきます。というのは、判例によると(大審院大正4年5月21日など。西田典之『刑法各論』p146(最新版での確認を請う)参照)、窃盗罪には、不法領得の意思、すなわち、「仝⇒?圓鯒喀釮靴董他人の物を自己の所有物として、△修侶从囘用法に従い、利用し処分する意思」が必要で、告発していることからすると、 ↓△箸發頬?燭気覆いらです。なお、器物損壊罪(刑法第261条)が成立する可能性があります。というのは、損壊とは、物理的損壊に限らず、物の効用を害する一切の行為(西田『刑法各論』p261)を言うので、本件では当たる可能性があるからです(蛇足を加えると、学説上は、窃盗罪に不法領得の意思を不要としている少数説もありますが(これなら、窃盗罪成立の可能性が高い)、この学説の方が条文に忠実かな、と思った次第です)。