清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

流出より 「ドラフトだけ」が 問題だ

都市対抗野球で優勝した、新日本石油田沢純一投手が、NPB(日本のプロ野球)を経ずに、大リーグに挑戦するという。

何かの本で見たが、読売新聞は、野球のことになると感情的になる嫌いがあるそうだ。この件でも、感情的なところ(というか、疑問のあるところ)が散見される。以下においては、読売新聞の報道のどこが問題かを、指摘したい。

まず最初に、おそらく正しいところを指摘しておきたい。すなわち、もし、「社会人選手は、日本野球連盟の登録規定によって一定の時期までプロ球団との交渉が禁じられている」(巻末の参照から引用。以下断りがなければ同じ)という規定が大リーグ関係者に適用されていないという現実があるのであれば、早急に改めるべきである。

しかし、その他の部分では、普通に聞くところと大いに違うので、たぶん読売新聞が間違っているのだろう(間違っているという結論は不当だが、それよりも、以下の私の理由付けの妥当性を検討されたし)。

第1に、「契約金も、国内は上限が決まっているが、大リーグは青天井」とのことだが、国内の契約金があまりにも(大リーグと比べても)高いので上限が設定されているはずである。

第2に、「国内はドラフト改革で希望入団枠が廃止され、選手が国内球団を選ぶ道は閉ざされた。一方で、大リーグなら希望球団との交渉が可能だ」とあるが、アメリカ人からすれば、「国内は選手が国内球団を選ぶ道は閉ざされた(それもウェーバー式だから、最有力選手は下位球団に行く可能性が高い。日本は抽選)。一方で、NPBなら希望球団との交渉が可能だ」(ここは、参照からの引用ではない)となるので、無内容だ。それに、そもそも大リーグに今行きたい人は、国内球団を希望していないのであって、「国内球団を選ぶ道は閉ざされた」としても大したことはないだろう(国内では希望通りにならないので大リーグというのは想像の産物では?)

第3に、これがために「日本プロ野球界にとって深刻な人材流出」が起こるとは思えない。というのは、「国内球団はドラフトで選手を指名する必要がある」からである(マック鈴木投手も、多田野数人投手も、日本のドラフトで指名されてNPB所属球団に入った(鈴木投手はオリックス、多田野投手は北海道日本ハム))。何年か前か忘れたが、NPB所属の球団に入るには、ドラフトで指名されなければならなくなったのだ。つまり、NPBを経ないで大リーグに挑戦するということは、NPBに入れなくなるリスクと隣り合わせだということである(大リーグのフリー・エージェント権取得ならどうかは調べていません)。そこまでして大リーグに挑戦する人がたくさん出るとは思えないが。仮に「深刻な人材流出」が起こったとしたら、国内を選んでもらえるように新たに知恵を絞ればよい(私案は挙げない)。ついでに書くと、海外移籍のフリー・エージェント権取得が9年というのは長い。もう少し短くしないと、大リーグ志向の人を入れられないのではないか(「日本球界で認められたときはもう盛りを過ぎるので、今挑戦しよう」と考える人も出よう)。

最後に、田沢純一投手の大リーグでの成功を、心よりお祈りいたします。

参照 読売新聞2008年9月12日朝刊16頁(本文中のカギカッコ内は、断りがなければ、ここからの引用を意味する)