清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

読売の 連載だから ダメなのか?

今日から読売新聞紙上で始まった連載、「死刑 第1部 執行の現実」。

サラッと読んだが、この内容ではダメだ。どこがダメかを以下において指摘する。

まず、1面の鳩山邦夫法務大臣についての記述は悪くない。「事件の残虐性を頭にたたきこみ、心を鬼にした」ことに特に問題はない。もっとも、朝日新聞素粒子」が「死に神」と表現したのは、今でも言い得て妙だと思う。

田鎖麻衣子弁護士の、死刑囚を守る闘いも、それなりによい。

「再審や恩赦の請求が相次いだ」ことも、特に問題ない。「執行逃れ」も悪くない。幼児連続殺人事件で死刑が確定した人には申し訳ないが(その人の死刑が早まったのは再審等の請求ラッシュらしい)、その責任を他の死刑囚やその弁護人に負わせるのも酷だろう。

「この内容ではダメだ」と大見得を切ったわりには、悪くないじゃないか!といわれても仕方のない内容になってしまったが、次の点で、この連載の価値がマイナスになってしまった。

すなわち、法務省幹部が「形式的な再審請求をすれば、事実上、執行を回避できる現状を、考え直す時期に来ているかもしれない」と語ったことについてなんら批判しなかったことである。

「死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を有する」(市民的及び政治的権利に関する国際規約第6条第4項。日本は批准済み)という条文からすれば、「形式的な再審請求をすれば、事実上、執行を回避できる現状」は不当とはいえない。

もちろん、「形式的な再審請求」をしない人との不公平が生じることは承知している。しかし、この解決策は、死刑を廃止すること以外、考えられない。

あと、死刑執行の現実を知ることがそんなに意味があるかは、個人的には疑問である。(ある程度)残虐ゆえに、犯罪抑止力があるから存続すべしと取ることも可能だからである(これも見解のひとつではあるが、「公務員による(中略)残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」(憲法第36条)ことは頭に入れるべきだろう。もっとも、日本の裁判所においては、現行の絞首刑(刑法第11条第1項)を「残虐な刑罰」とはしていないが)。

今日の内容では、この連載は社会になんら貢献するところがないと言わざるを得ない。国際的に日本の死刑が問題になっていることがこれからも捨象されるならば、廃刊も検討すべきだろう。