読売新聞2008年10月31日朝刊33頁(仙台では)に、「不起訴 どう報道」と題した記事がある。
記事によると、ある犯罪の疑いで逮捕された人が実名報道で名誉を毀損されたとして訴えた裁判が沖縄であり、その付言でその人が不起訴(起訴猶予)になったことを報道しなかったことに苦言を呈したということがあるので記事にした模様。
「被害者の少女の人権を守る立場から続報を控えてきた側面もある」という説明が載っているが、不起訴の報道が「被害者の少女の人権を間も」らないとは思えないので、理由にはなっていない。むしろ、報道されたものの人権に全く配慮していないので、お話にならない。
「不起訴となった人が再度の報道を望まない」場合はたしかに報道の必要はないかもしれないが、原則は発表すべきであり、検察が発表しなかったというのは理由になってない。また、検察は発表すべきであろう。
なお、たしかに、「(実名報道は)公共の関心事で必要性は高い」と裁判所が判断するのはわかるが(刑法第230条の2第2項参照)、実名報道が本当に必要か(捜査機関の実名発表は必要でも)は、検討すべきだろう(ただ、沖縄の事件では、公立中学校の先生だから、やむを得ないかもしれない。どのような基準が妥当か、考察を深めていきたい)。