清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

校長を 支持する声の 恐ろしさ

読売新聞2008年12月4日朝刊33頁(仙台では。Webではこちら。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081204-OYT1T00250.htm
によると、入学試験の服装の乱れなどの、採点基準にない理由で、本来ならば合格していた生徒を不合格にしたことが原因で更迭された前校長について、神奈川県教育委員会、ならびに、読売新聞横浜支局に、支持の声が多く集まっていると言う。

このような人権感覚ゼロの声が多いことに恐ろしさを感じるのは、私はさておき、賢明な当ブログの読者ならばそうだろう。

まず、なぜ元校長を支持してはダメなのかを記す。

第1に、服装の乱れなどが「能力」と言えるか疑問だからである。憲法第26条第1項によれば、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とある。ここでの「能力」は、「一定の事柄について法律上要求される資格」*(たとえば民法第4条以下の行為能力)ではなく、「物事をなし遂げる力」*のことである。つまり、学業をなし遂げる力となるが、服装の乱れなどから「能力」がないというのは、飛躍だろう。着こなしが悪いからモデルには向かないと言うのならわかるが。

第2に、服装の乱れなどで不合格にすることは、差別の可能性があるからである。教育基本法第4条第1項によれば、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地により、教育上差別されない」となっている。「人種」以下は、憲法第14条第1項と同様に、例示列挙と解するべきで、第1の理由とあわせると、能力があるのに服装などを理由に不合格にすることは、差別となろう。

次に、読売新聞の記事を批判する。

第1に、「「まゆをそっている」「スカートが短い」」(上記読売新聞)ことが「能力」と関係あるか疑問なのは既述した。
 
第2に、「「入試で服装や態度を正すのは常識」(64歳男性会社員)」(上記読売新聞)とのことだが、「入試」は「服装は態度を正す」場ではない。

第3に、「「服装などに問題がある生徒は、他の生徒に迷惑をかける可能性が高い」(45歳主婦)」(上記読売新聞)としても(根拠は薄弱だと思うが、仮に)、それは服装の問題ではない(本人の資質、状況、その他)。

第4に、「中央教育審議会副会長の梶田叡一・兵庫教育大学長(67)は「社会の秩序を乱しても構わないという個人主義が広がっていることに危惧(きぐ)を抱く人が声を上げたのだろう」と分析する」(上記読売新聞)のもダメ。”??覆匹「社会の秩序を乱して」いるのも飛躍だし(単に気に入らないだけかも)、◆峺朕夕腟繊廚老竫∥茖隠馨鬚砲發△蝓△修譴覆蕕仄?垣犬良??鯊砂鼎垢戮とも言えるからである。

第5に、この学校は、たばこなどのトラブルがあったようだが、それは、薬物依存症なのだから、禁煙外来でも紹介すればいい話である。また、過去の不祥事と受験生は無関係だろう。
 
第6に、淵野(辰雄。清高注)前校長は、「まじめな生徒を守りたかった。安心・安全な学校生活を送らせてやりたかった」(中略)「服装なども選考基準だと分かれば、面接にはきちんとしてくる。普段の様子を知るには公表せずにチェックするしかなかった」(中略)「問題のある生徒が多く、きめ細かく指導しようとすると仕事は限りなくある。先生方は限界だった。ルールを逸脱した形になったが、苦渋の決断だった」)(上記読売新聞)と言っているが、”??覆匹陵陲譴討い訖佑即まじめな生徒を守らなければならないほどのことを起こすかどうかはわからない(その都度の対応しかない)、服装の基準は不適当(既述)、「ルールを逸脱」するのは、ルールを守る(よくないなら変える)ことを教える学校としては不適当、以上3点からダメで、更迭も仕方がないと思う。

なお、『有斐閣判例六法』の憲法第三章五‐3「在学・在校関係の判例」を見た限りでは、裁判で争うと、私見が認められず、負ける可能性が高いことを付け加えます。

*『法律学小辞典』(有斐閣。第3版(最新版で確認されたし))