清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

裁判員に 判断させりゃ いいじゃない

京都府舞鶴市で女性が殺された事件において、近所の老人男性が逮捕されたが、それが異常である。

まず、殺人(刑法第199条)と死体遺棄(刑法第190条)容疑で逮捕したこと。このような場合、まず、死体遺棄容疑のみで逮捕するのがよくある話である。刑事訴訟法学においては事件単位説が通説のようなので、いっぺんに逮捕しても別々に逮捕しても問題はないが、不公平に感じる。難しいが、事件ではなくて、人によって持ち時間を定めることも検討すべきかもしれないと思った(人単位説のつもり。もっとも、これが妥当かは検討していないのでわからないが)。

第2に、この逮捕劇は、状況証拠のみに基づいている模様で、いわゆる物証がないとのこと。ただ、物証がなくても問題はない。合理的な疑いを超える程度の証明をすればいいだけの話。むしろ、物証を求めることで、自白採取による人権侵害のリスクがあることは考えるべきだろう(物証を求めるために自白を採る)。

第3に、この逮捕劇、裁判員制度を意識しているとのこと。東京新聞裁判員裁判回避か 舞鶴高1殺害容疑で男逮捕物証発表せず」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009040802000053.html
の渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)のコメントによると、「「プロの裁判官なら、間接証拠の積み上げで、一定水準以上の『合理的疑い』があれば有罪を認定するが、市民の裁判員に同じことができるかは未知数。裁判官に判断を委ねるのは一つの選択だ」」という。しかし、これが本当ならば、国民を馬鹿にした話である。国民が冤罪をチェックすること(司法の民衆参加はそもそもこのような理由があったらしい。ラードブルフ『法学入門』(東京大学出版会)の一読を請う)を否定した考えだからである。冤罪かどうかを裁判員にも判断させるべきだろう。

その他、この事件についての東京新聞の記事で気がついたのは、ぁ嶌鯒五月、市内の雑木林で見つかった小杉さんの遺体の周辺を検証しようとしたところに雨が降り、足跡などがかき消されてしまった」という事実と(捜査に問題があった?)、ァ屬茲似た人物が」被害者「と歩く姿が、防犯カメラに写っていたことが」犯行を裏付けることにはならないことと、Α嵒?鮹罎如逃亡の恐れはない。その中で逮捕に踏み切った」ことについては、逮捕の要件には「逃亡の恐れ」はない(「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるとき」。ここのカギカッコ内は刑事訴訟法第199条)。なお、刑事訴訟法第210条(緊急逮捕)、第212条、第213条(以上現行犯逮捕)参照。なお、「逃亡の恐れ」は、勾留の要件(刑事訴訟法第60条第1項第3号))ことである。

カギカッコ内は、断りのない限り、東京新聞裁判員裁判回避か 舞鶴高1殺害容疑で男逮捕物証発表せず」から引用。