清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

死刑と無期 確かに幅が あるのだが

毎日.jpの右記のページ(http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20090703ddlk07040149000c.html
によると、「放火殺人事件で妻子を失い、仮釈放のない終身刑の創設を求めて全国行脚している」(以下、断りのない限りカギカッコ内は上記毎日.jpからの引用)人がいるという。

「死刑と無期懲役は、あまりにも幅がある」との訴えは正当である。犯人が「刑務所に8回収監されていた」のであれば、ことのほか何とかしてほしいという気持ちにもなろう。

しかし、申し訳ないが、私は署名をする気になれない。

第1に、「仮釈放のない」ということは、ある意味残虐だからである。一生外に出るな!ということだからだ。私の知る限り、仮釈放のない終身刑というのはほとんどなく(アメリカぐらいかなぁ。『終身刑を生きる―自己との対話』(ハワード・ゼア著。現代人文社)参照。もっとも、この本では、仮釈放のない終身刑でも、反省の日々を送る人がいるということが書いてあるが)、終身刑でも釈放の可能性がある場合が多いから、あまり意味がない提言だと思う。

第2に、「死刑と無期懲役は、あまりにも幅がある」のならば、死刑の方を廃止することを考えた方がいいと思うからである。冤罪のリスク、残虐性、(最近では)お金がかかるなど、死刑の問題を探求したほうがいいと思うからである。

第3に、この事件に関して言えば、「刑務所に8回収監されていた」ことを重視すると、終身刑を創設しなくても、「改悛の状」(刑法第28条。ここのみカギカッコ内条文)なしとして(素人考えながら認められるのは難しいと思う)、仮釈放はされない可能性が高いと思うからである。最近の無期懲役刑の運用の傾向からも、仮釈放されない可能性が高いと予想する。このことからも、わざわざ「仮釈放のない終身刑」を導入する必要性を感じない。

署名を求めている方には申し訳ないが、私の知る限り、刑罰を重くしたからといって、究極的に「安心して暮らせる」社会がつくれるわけではない(多少の抑止力はあるそうだが(『人は意外と合理的』(ティム ハーフォード著。ランダムハウス講談社)には、懲役の年数を延ばすと犯罪が減るという)、死刑にしたからといって抑止力がアップするわけではないという説もある(たとえば、『ヤバイ経済学』(レヴィット=ダブナー著。東洋経済新報社))。「刑務所に8回収監されていた」ことを重視すると、求めるべきは、矯正の改善だろう。