YOMIURI ONLINE「連続不審死一挙解明へ、殺人容疑立件へ詰め」(2009年12月16日20時32分 読売新聞。取得日2009年12月17日。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091216-OYT1T01139.htm)によると、「交際相手の男性らが相次いで不審死した東京都豊島区の無職の女(35)(詐欺罪などで起訴)を、埼玉県警は16日、ホテルに一緒に宿泊した男性から現金を盗んだとして、窃盗容疑で再逮捕した。女の逮捕は5回目」という。
「捜査当局は、今月中にも大出さん殺害容疑で女を再逮捕する方針だったが」(上記YOMIIURI ONLINE)とあるとおり、いわゆる別件逮捕である。
殺人事件で一回逮捕すればいいのに、いろいろな犯罪で捕まえるのはちょっとおかしくないか?
と思う人はあまりいないだろうが(思って欲しいが)、刑事訴訟法の理論では問題になる。
殺人事件のための逮捕だとすれば、違法ではないのかを考えるのが、本件(この場合は殺人罪)基準説、窃盗事件の逮捕として違法でなければ問題がないと考えるのが別件(この場合は窃盗罪)基準説である。
理論的には本件基準説に魅力は感じるが、違法でない逮捕を違法とするのが難しいこと、何回も窃盗罪で逮捕された人が殺人をした場合と比較して不当とは言えないことから、別件基準説にならざるを得ないと私は考える。