清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

バルサから 日本のプロ 考える

私はあまりサッカーを観ていない。Jリーグベガルタ仙台も、日本代表も、クラブワールドカップも、ヨーロッパサッカーも。なぜ?と言われると困るが、こればかりは好みと言うしかない。

そんな私だが、フェラン・ソリアーノ著『ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント』(アチーブメント出版。以下『ゴールは』)を読んで、ヨーロッパを中心としたサッカービジネスも面白いものだ、と感じた。

詳しくは本を読んでほしいが、この本は、日本のスポーツを考える上でも有益な本である。以下。私がこの本を読んで考えたことを、3つのカテゴリーに分けて書く。なお、借りて読んだ本なので、引用が正しくない場合があることをご了承ください。

(1)選手編

『ゴールは』p13に拠ると、イングランドプレミアリーグの90年代は、「ほぼ1対1の相関関係でチームの成績と選手の給与が比例して」おり、「優勝チームとはいちばん報酬の高いチーム、最高レベルの選手たちと契約し、それ相応の給与額を支払っているチーム」だという。「サッカーは才能によって左右される度合いが高いスポーツ」(p103)だから、そうなのだろう。もっとも、個人的には、サッカーは番狂わせが結構あるように感じたが(よく調べていないので間違っているかも)。というのは、得点を取るのがどんな団体球技でもいちばん難しいから(点を取るのに邪魔をするわけだから)。しかし、サッカーはミスのゲームである一方、他のチームスポーツは、精度を上げれば得点を取れるから(p102参照)だという。ここら辺は、著者独特の哲学なのか、私が厳密に研究していないからか、といったところが見方の違いに出るのだろう。

それはさておき、NPBプロ野球が、おおむね読売巨人軍が強いのがうなずける内容である(詳しく調査していないが、一番人件費が高そう)。そして、それならば、サラリーキャップは愚作の可能性が高い(アメリカは選手の給料が高いので例外)。人件費をケチっては強いチームができないからである。日本の国内男子バスケットボールリーグには、日本バスケットボールリーグ(以下、JBL)と、日本プロバスケットボールリーグ(以下、bjリーグ)があるが、選手の報酬がJBLのほうが高いとされるので、レベルはJBLのほうが高いということになる。もっとも、アジアでも10位の日本男子バスケ、JBLの日本人選手がその報酬に値するか、bjリーグの外国人選手(外国人選手の報酬は両リーグ未調査)がJBLの日本人選手に負けるのか、まではわからないが。2013年からのプロリーグ(予定)は、外国人枠をなくして厳しく市場化すべきだろう。そういうプロリーグのある国が強いのだから。

(2)放映権編

スポーツビジネスに詳しいなら、放映権はチームにとってきわめて重要な収入源であることはわかるだろうが、放映権の契約モデルは、『ゴールは』p43によると、プレミアリーグのように、全クラブの放映権料をいったんプールしてから収入レベルに応じて各クラブへ配分する方式と、スペインリーグのように、クラブとTV局との個別の契約を基本とする方式とがあるという。

私は長年前者が妥当で(この2つの方式しかなければ)、それしかないと思っていたが、世界に売り出すということから考えると、スペインリーグ方式にも一理あると考え直した。

NPBプロ野球もスペインリーグと同じだが、そのおかげで、巨人がより強いチームになろうとしているし(もっとも、MLBのチャンピオンチームとの真剣勝負がないので、世界的広がりには欠ける)、東北楽天ゴールデンイーグルスの試合もsky.A sports+やBS11で全国の皆さんの御覧頂けるのだ。

(3)チーム運営編

『ゴールは』p59によると、サッカークラブの戦略には、 崟こεなブランドとなり、リーダーになることを目指すクラブ」、◆崋?廚鮠紊欧覆ら、自国での優勝を目指すクラブ」(付言すると、ポルトガル、フランス、オランダに多いらしい。少ない予算で自国リーグでの優勝を目指し、いい選手を,離ラブに売る)、自国リーグでトップディビジョンに属することだけを目指すクラブ、があり、「プロのサッカークラブの多くは地域密着型のスポーツ団体ではなく、多国籍企業のような組織となっており、それ相応の経営管理がますます求められるようになっている」(p98)ので、世界的クラブと地域限定クラブの二極化(p27参照)が起こっているという。

Jリーグbjリーグなど、日本のスポーツな地域密着が流行りだが、現状では「世界的なブランドとな」るのが容易ではないから、仕方ないのだろう。それにしても、アメリカやヨーロッパのプロ選手って、何であんなに報酬が高いのだろう。

ところで、p22によると、「クラブチームを地域やその住民と同一視するのは、サッカーというスポーツに限られた現象」だとか。FCバルセロナという、バスケットボールのユーロリーグにも参戦しているチームの元CEOに言われるとガックリくるが、引用した文章からすると、おおむね企業より地域のほうが規模が大きく全国に散らばっていないのだから、日本流の実業団方式でより多くの客を集めるのは容易ではないと考えた。

その一方で、スポンサーについて、小口の契約と大口の契約の経費はほとんど同じだという(p74参照)。実業団方式を大口の契約と見ると、実業団方式も有力か。しかし、地域や住民が心置きなく応援するためには、企業のチームよりは、スポンサーにとどまった方がいいように思った。