清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

「抵抗と 人間」よりも ナチスかな

フォーラム仙台で、2010年6月4日までやっている映画、『海の沈黙』と『抵抗 死刑囚の手記より』(以下、『抵抗』)が興味深かったので(『フォーラムラヴィ』5月号を見て。フォーラム仙台、チネ・ラヴィータにあります)、観た。

そもそも、この2作に興味を持ったのは、『フォーラムラヴィ』5月号の説明がよかったのもあるが、パンフレットの「『抵抗と人間』をテーマ」という文言に惹かれたから。映画好きの人には邪道と思われるだろうが、この程度の意識で映画館に来る人がいればより映画が栄えると思って、ご海容願いたい。

岩波ホールでは、『海の沈黙』→『抵抗』の順だったようだが(「岩波ホールセレクション vol1.[抵抗と人間]」http://www.crest-inter.co.jp/selection
参照)、諸々の都合があり、同じ日に『抵抗』→『海の沈黙』の順に観た。以下、この順に感想を書く。

1.『抵抗』

ナチス・ドイツの占領下に、諜報行為とテロ未遂で逮捕されたフォンティーヌ中尉が、監獄に送られた。そこでは、銃殺刑となる囚人が多数収容されていた。自由を希求するフォンティーヌ中尉は、脱走を試みる。スプーンをのみにしたり、ロープや鉤を作ったりして、着々と準備をする。そうこうしているうちに、銃殺刑が宣告されたが、それとともに新しい囚人が、中尉と同じ独房に入る(囚人過剰のためだろう)。説き伏せてともに脱走を試みるが、果たして成功するか?

今の社会では、死刑になっても脱走は評価されないだろう。しかし、ナチス占領下であれば、自由を希求したり、人とあったりしたいがために脱走をすることを非難するのは(現在では)難しいだろう。最後の部分は、何かの象徴である、と感じた。刑務所の描写、モーツァルトの曲もよかった。

2.『海の沈黙』

この映画のストーリーについては、岩波文庫の『海の沈黙・星への歩み』をご一読願いたい。

一般社会において、私(ナレーション兼務)とその姪のような、徹底した無視の態度を取ることは、いじめとなりダメな行為である。しかし、時代や、前作同様ナチスドイツの時代。立派な抵抗である。ドイツ人将校の独白に心を動かされながらも抵抗する私と姪、時間が経つに連れて心が通う様が圧巻であった。しかし悲しいかな、ナチスドイツの将校、完璧に心が通うことなどあるわけがなく、フランス語の使用禁止など、フランス人の精神を破壊する方針を宣告し、将校自らは前線に赴くことになる。姪役の女優さんの目力が絶品だった。

強引にまとめると、両映画は、ナチスに対する抵抗を描いた作品であり、人は不当な抑圧を受けたら、何らかの形で抵抗を試みるものだ、ということである。