清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

大逆事件 冤罪結構 あるみたい

唐突だが、「大逆事件」をご存知だろうか?

詳しくは、日本史の教科書や、山川出版社の書物を確認して欲しいが(『もういちど読む山川日本史』もいいが、『詳説 日本史研究』を読むのが大人(私は未読だが)。大学受験生は英語と数学の勉強が忙しくて読む暇はないはず)、私の手元にある古い山川出版社の教科書によると(1993年発行。受験勉強に用いた)、「第2次桂内閣は幸徳秋水ら26名の無政府・社会主義者を、天皇の暗殺をくわだてたとして逮捕・起訴した。翌年全員が有罪判決をうけ、そのうち12名が死刑執行された」(p284より引用)という事件である。「として」とあるように、なんだかボケている記述である。実は、「として」が引用文章、ならびに事件のポイントである。それを示したのが昨日午後10時からNHK教育テレビで放送された、「ETV特集 埋もれた声~大逆事件から100年」(以下、「ETV特集」と表記)である。

ETV特集」によると、大逆事件の発端は、長野県の男が、天皇に爆弾を投げつける目的で爆弾の実験をしたのが始まりで、捜査機関は、当時社会主義のリーダーであった幸徳秋水が首謀者であるとにらんで幸徳秋水も逮捕し、幸徳秋水と交友のある、和歌山県新宮市の人も6人逮捕されたという。しかし、捜査は杜撰で、長野県の事件の実況検分すらなかったとか。この事件で逮捕された新宮市の人の中には、部落差別解消に取り組んだ人もいるという。その人を含め新宮市の6人全員が有罪となったが、6人だけでなく、その家族まで差別などに苦しめられたという。たとえば、真宗大谷派の檀家から除名されたり、軍隊でいじめられたうえに戦後就職も苦労したりした人がいる。家族は無罪を信じて再審請求したが、棄却されたという。しかし、新宮市(議会)は、大逆事件で逮捕・起訴された6人の名誉を回復する議決をしたそうだ。このようなこともあって、逮捕・起訴された6人の家族がインタビューに答えたのが番組の内容である。

大逆事件について知ることは、今の日本を考える上でも役立つと思った。部落差別、在日韓国・朝鮮人問題(社会主義弾圧の理由のひとつだった)、加害者の(「ETV特集」では「加害者とされた」)家族の言われなき苦境など、いろいろなことを考えさせられた。

というわけで、昨日の「ETV特集」、極めて有益であった。本エントリーで興味を持たれた方は、NHKオンデマンドにアクセスしたり、NHKに電話して再放送を求めたりしてみたらいかがか。

*文中敬称略