清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

貸与制 全然理由 ないんだよ

トラックバック先の、弁護士と闘うさんの、『弁護士と闘う』「司法修習生の給費制打ち切り。貸与制移行で最終合意 」(http://blogs.yahoo.co.jp/nb_ichii/32840817.html
によると、「政府が設置した省庁横断の検討会議「法曹の養成に関するフォーラム」(座長・佐々木毅学習院大教授)は31日、司法修習生の給与を国が支給する「給費制」を打ち切り、生活資金を貸す「貸与制」に移行することで最終合意した」という(元記事のURLは、http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110831/trl11083121510009-n1.htm


ただ、『弁護士と闘う』の記事は、結構とんちんかんである。「東日本大震災」がなかったら、給費制でいいのか? 「日弁連会長は一度もフォーラムに参加して意見を出していない」というが、構成員にそもそも「日弁連会長」はない(法務省HP「法曹の養成に関するフォーラム 構成員名簿」(http://www.moj.go.jp/content/000078021.pdf
)、非行問題と給費・貸与制の関係が明らかでないこと(貸与制だから非行が減る、というシュミレーションすらない)、以上3点より、ダメ記事である(以上まで、カギカッコ内は、『弁護士と闘う』のエントリーからの引用)。

法曹の養成に関するフォーラム 第5回会議「司法修習制度の意義と給費制・貸与制を巡る論点について」(以下は、断りのない限り、法曹の養成に関するフォーラム 第5回会議「司法修習制度の意義と給費制・貸与制を巡る論点について」からの引用。http://www.moj.go.jp/content/000078772.pdf
を見た限りでは、「給費制を継続するべきであるとする意見について」では、「修習内容についても、裁判員裁判を含め裁判の評議に立会い、検察庁において被疑者の取調や調書作成に関わる」など、具体的な(個人的にはまだ不足)修習内容が書かれている。しかし、「給費制を廃止し、貸与制を導入すべきだとする主な理由」では、「公務員でなく公務に従事しない者に対する国の給与支給は異例」ぐらいしか修習内容に関する具体的な見解がない。しかし、「修習生は、採用された後、最高裁判所に置かれる司法研修所の統轄の下にあり、全国各地の実務庁に配属され、「全力を修習のために用いてこれに専念すべき義務」(修習専念義務)、守秘義務利益相反活動を回避するべきことなど、その性質上課せられる諸規律の下にあり、特定の事由に該当する場合には、最高裁判所により罷免される地位にある」という反論は、結構有力だろう(修習期間に他のことができないのだから)。付言して、ちょっと調べればわかるが、インターンシップでも給料が出るところもあるそうで、それとのバランスもとれていないし。

第5回会議のファイルしか見ていないが、第5回会議では、国際比較がないように感じ、客観的な議論になっていない。国際比較については、「裁判所|各国の法曹養成における学生・修習生の権限(メモ)」(2004年4月19日 宮川 光治。http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/sihosyusyu/iikai_07_memo.html
が参考になろう。カナダでは「法律事務所等で給与を受けながら」、フランスでは「司法官試補として2年7ヶ月の研修」、スウェーデンでは「公務員として給与を得て,地方裁判所または行政地方裁判所を主体庁として修習する」とのこと。貸与制を正当化できる資料を発見することは出来なかった(アメリカでは、「学生が州裁判所内で弁護活動を行うことを認めている」が「依頼人を貧困者・低所得者または州に限定する州が多い」ことからすると、所得が得られると推測する)(この段落内のカギカッコ内は、「裁判所|各国の法曹養成における学生・修習生の権限(メモ)」からの引用)。

というわけで、貸与制を根拠づけるものは一つもなく(「財政負担」なら、どの政策もそうで、理由になっていない)、法曹の養成に関するフォーラムは恣意的な議論をしているダメ組織と判断して問題ない。