清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

うそつきが はびこっていた 9.11

2011年9月11日で、いわゆる同時多発テロから10年。NHK-BS1の「BS世界のドキュメンタリー」では、いわゆる9.11を題材としたドキュメンタリーが多数放送されていた。その中から(といっても、全部は見ていないが)印象に残ったものを2本。
 
1.「世界を戦争に導いた男」(http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/110912.html
 
私なりに要約すると、暗号名カーブボール(イラク人亡命者)の生物兵器等製造施設に関する証言がドイツの情報機関BNDで採られ、それがアメリカで独り歩きしてイラク戦争が起こった。暗号名カーブボールの証言は虚偽だった(国連でカーブボールの証言通りに製造施設を探したが、見つからなかった)。ドイツはカーブボールの話を使わないように警告したが、イギリスとアメリカを怒らせたくなかったからか、公表はせず、結果、イギリスとアメリカは戦争に踏み切った。
 
それではなぜ暗号名カーブボールは嘘をついたのか? それは、水道のある国に住みたかったかららしい(メリットも人道問題もなく簡単には亡命できない、ということなのだろう)。
 
国際政治の現実を垣間見た気がした。もちろん、ドイツに公表すべきだったということはできる。しかし、そうなると、国益を守ることができたのか? もっとも、戦争でたくさんの人が亡くなったことを想起すると、ドイツは公表して国際世論に問うべきだったと、やっぱり私は思う。
 
2.「偽りのヒロイン ~全米を欺いた5年間~」(http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/110919.html)
 
これも私なりに要約すると、9.11の生存者とされるタニア・ヘッド。9.11の時は、銀行に勤め、貿易センタービルで仕事をしていたが、婚約者をなくし、自らは右腕に大けがをした。「9.11生存者ネットワーク」の仕事を献身的にこなし、生存者に無関心だった人々に存在を知らしめる役割を果たしたという。しかし、ニューヨーク・タイムズは、貿易センタービルでの生存者全員に取材をしていたのにおかしいと思い、タニア・ヘッドに取材を試みる。結局、タニア・ヘッドの発言は嘘であることがばれたが、家族が詐欺事件を起こすなどして、自分に注目してほしくて嘘をついたらしい。
 
嘘は原則としていけない。ましてや被害者を騙すのは最低である。しかし、嘘の背景を探ると、ある程度の同情心が湧く(家族が事件を起こし、自分に自信を無くすことを想像したら…)。それにしても、捜査機関、マスメディア、ついでに被告人の弁護士は大変な職業である。一般論として被害者に配慮すべきことは言うまでもない。しかし、それでは真相解明に支障をきたす場合がある。今回のような被害者を騙っている人の存在を暴き、真相を究明するためには、荷が重くても調査しなければならない時がある。
 
3.どちらのドキュメンタリーにしても、問題を起こした人には、多少は同情できるところがある(もちろん、行為は非難されても仕方がない)。ご覧になった方はそのあたりを汲んでいると思うし、そうでない方は、頭の片隅に入れておけばよい。
 
*文中敬称略