清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

処遇でも 死刑存置は 難しい

読売新聞東京本社版2011年12月29日朝刊13版29面の見出しの一つは、「死刑執行19年ぶりゼロ」。YOMIURI ONLINEでは「法相、死刑執行ゼロ説明避ける…遺族は憤りの声(2011年12月29日03時07分。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111229-OYT1T00078.htm 。
 
人が死なないのだから、結構なことではあろう。
 
後ほど「死刑執行19年ぶりゼロ」には軽く触れるが(一言だけ書くと、読売新聞の記事は、被害者にしか聞いていないと推測される(MSN産経ニュースの限りでは)産経新聞よりマシである(根拠URLは、http://sankei.jp.msn.com/affairs/topics/affairs-14728-t1.htm) 、肝心なのは、「半数近くが精神症状で投薬 『拘禁反応』のケースも」のほうである。
 
「半数近くが精神症状で投薬 『拘禁反応』のケースも」によると、「法務省によると、確定死刑囚124人(11月下旬時点)のうち、半数近い56人が精神症状を訴え、継続的な投薬治療を受けている」とのこと。
 
死刑になるほどの犯罪をしたのだから「ざま~みろ!」という見解もあり得るし、投薬治療をうらやむ見解もあり得よう。
 
しかし、それよりも、これは死刑囚独特なのだろうか? と思った。無期懲役囚の場合はどうか、有期懲役囚の場合はどうか、など、いろいろ比較もあり得よう。
 
死刑のプレッシャーが原因ならば、廃止すればいいだけのこと。
 
長期拘禁が原因ならば、さっさと死刑を執行するという選択肢もある。しかし、そうなると、無期懲役囚や、有期でも長期にわたる人はどうなのか、ということも知らなければならない。無期や長期の懲役囚にも同様の傾向があるとすれば、懲役の最高刑を短くすることが考えられるが、そうなると死刑との間にギャップがより生じてしまうという欠点を持つ。
 
死刑囚は何もしないことが原因だとすれば(懲役囚は「作業」(刑法第12条第2項)をする。なお、禁固刑の場合は、申出による作業がある(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第93条)、これも死刑廃止が有力(実際の運用は知らないが、死刑確定者には、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第93条のような規定はなく(「作業」を指せるのが難しい)、同36条によれば、「単独室」が原則で、「その者が心情の安定を得られる」と認められないと、「相互に接触させてはならない」とされる)。
 
死刑囚の処遇もつぶさに検討すると、死刑制度の維持に合理的理由はなさそうである。
 
なお、「後ほど「死刑執行19年ぶりゼロ」には軽く触れるが」(エントリー本文)と書いたので触れてみると、足立大記者の解説も載っている。「問題は、民主党政権下で法相が勉強会を口実に執行を先送りしているように見える」というのは一面的だが(現在の法務大臣は国会議員なので、人数を集めて死刑廃止のための法案を出せばいいから)、「法務省の勉強会で議論に長い時間がかかるのは、死刑を巡る議論の難しさを考えれば、やむを得ない」は悪くない。ただ、国際情勢や、冤罪の不可能性などは、たいして議論をしなくてもわかることで、廃止のための法案を出すように提言すればよかった。