有名な作品だが、一応あらすじを書くと、少年が父親の胸をナイフで刺したとして、第一級殺人罪(謀殺)に問われ、陪審裁判にかけられた。陪審員にも仕事や用事があるので早く終わらせたい。大多数の陪審員は、検察側の主張に理があるとして、挙手による投票の結果、11人が有罪に賛成。しかし、1人の陪審員が、5分で人の命の行方を決めるのはよくないとして、無罪に賛成する。議論を重ねるうちに、いろいろな事実が。そして…
まぁ、アメリカで採用されている陪審制度の入門としていい映画だと思う。ただ、個人的に印象に残ったのは、陪審員が早く終わらせたいという態度を示したことだ。以前、トルストイの『復活』(新潮文庫)を読んだが、そこでも陪審員は乗り気ではなかった。日本でも、世論では裁判員制度に反対の人が多かったと記憶する。どこでも、司法の民衆参加というのは面倒なものなんだ、ということがわかって(?)、有益であった。
映画において、事件は、国選弁護人の担当だったという。国選弁護人の弁護活動が消極的なのも、どこでも同じかもしれない、とも思った。
アメリカの司法もわかり、日本の司法もわかる、有益な映画である。