清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

都教委の 狂った様が 記録され

某日、桜井薬局セントラルホールで、「田中さんはラジオ体操をしない」(http://urayasu-doc.com/tanakasan/ )と、「“私”を生きる」(http://doi-toshikuni.net/j/ikiru/index.html )という映画をやっているのを知った。時間の関係でで2本は見ず、「“私”を生きる」だけを見た。いかは、「“私”を生きる」のレビューを書いてみたい。なお、「田中さんはラジオ体操をしない」も面白そうな映画だが、今のところ、全国での上映は終わっている。「“私を生きる”」は、佐賀、神戸、広島、名古屋、東京、京都で上映が予定されているので、まだの方はこのレビューを読むのはお勧めしません。

一言で要約すれば、東京都教育委員会から処分を受けた3人の先生の半生記、といったところか。

3人の先生で最初に登場するのは、根津公子さん。中学校の家庭科教員。独自の教材を作ったり(手書きで料理の方法などを示している)、自分の頭で考えるように指導する熱心な教員である。、独自教材は非難が強かったようだが、根津先生は、教委に完璧な説明をし、校長、教委、ともに絶賛するほどの、信頼の厚い教員だったようだ。その根津先生、従軍慰安婦や同性愛を家庭科の授業に取り入れたところ、保護者が参列する会議でつるし上げられ、生徒とのコミュニケーションに支障がきたすということがあった。そんな根津先生が、町田市鶴川にある中学校に赴任した時に、国歌斉唱時に不起立だったため(理由は、第2次大戦中の日本の残虐行為や、君が代の果たした役割を勉強して)、停職6か月に。抗議のために毎日門前通学し、生徒にあいさつするも、無視する生徒もいる。支援者と男性との激しい応酬も収録されている。

2人目は佐藤美和子さん。小学校の音楽専科の教員。涙そうそうの合唱シーンが映る。生徒にも慕われているようだ。佐藤さんは牧師の家系(不適当な表現かもしれない)で育ったキリスト教信者なので、国歌を強制されて歌うことはできない。抗議の意味を込めてか、ブルーリボンをつけた行為が職務専念義務違反とされ、訓告処分に。訴えを提起するが、5年の裁判の末、敗訴。伴奏も拒否。体調を崩し、胃潰瘍が見つかる。刀で切られたようなひどい潰瘍とのこと。思い当たるのは、国歌斉唱関連のストレスだった。

3人目は、土肥信雄さん。東京大学農学部から商社を経て、教員に。基本的人権の尊重と平和主義の信念を持つ(国民主権と合わせて、日本国憲法の三大原則と教わる)。高校の校長先生になるが、生徒の名前を覚えたり、部活中の生徒に声をかけたりと、生徒の心をつかむのに熱心な先生で、「10年ぶりの土肥授業」をしてもらえるほどに慕われている。管理職として遵法精神を理由として、教員に起立、国歌斉唱に関する職務命令を出すが、そのことや、挙手等の禁止につき、東京都教育委員会を批判する(とりわけ、園遊会天皇陛下にたしなめられた、米長邦雄・当時教育委員(ウィキペディア米長邦雄」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E9%95%B7%E9%82%A6%E9%9B%84 )参照)を特に批判している)。このようなこともあってか、再任用時の評価が、どの観点からも最低のC評価で、再任用を拒否される。なお、この時の再任用の合格率は、99%だったという。

個々の先生の考え方には異論もあろうが、先生として肝心なのは、生徒(元も含む)から慕われているかどうかだと思うので、映画に出た3人は、映像の限りでは、合格だろう。そんな先生方が、些細なことで処分される様は、異常としか評価できない。野球場に行けば、国歌斉唱しない人、起立しない人、ともにいる。ブルーリボンはファッションともいえ、実害もないはずである(もっとも、組合活動におけるリボン等の着用の正当性を否定する判例とはパラレルに理解できる。菅野和夫『労働法』(弘文堂法律学講座双書)をご一読。手元にある第七版補正版では、563ページから)。職務を果たしたうえでおかしいと批判することはサボタージュほど悪いとも思えない。3人の先生に対する処分は、私が考える限りでは、異常だ。もっとも、映像で記録されていることだけでなく、その他の事情もあるかもしれない。ここで残念なのは、東京都教育委員会に取材した形跡がないこと。もっとも、土肥さんとの公開討論を拒否する団体なので、取材に応じられないほど臆病だったのでしょうな。

それにしても、国旗国歌に敬意を示すべきと教える学校、ならびに教育委員会が、知っている人が挨拶をしたら挨拶を返すという当然の礼儀を無視する生徒を輩出し、先生を生徒から引き離すようなことを平気でやるというのは、狂っていると言わざるを得ない。

救いは、支援者の存在、生徒からの信望、他人に与える良い影響(根津さんの娘さんは、介護現場で労働組合を立ち上げたという)が記録されていることか。