清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

抽出ダメ 証明できぬ 読売が

朝、読売新聞を見ると、「全国学力テスト 全員参加できめ細かな検証を(4月23日付・読売社説)」(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120422-OYT1T00706.htm )が目に付いた。相変わらずだなぁ、と思いつつ、検討を加える。

「全国学力テストは2007年度に全員参加方式でスタートしたが、民主党政権は、コスト削減を理由に10年度から、約3割の学校を抽出する方式に変更した」そうだ。「コスト削減」効果は検討していないが、あれば妥当だろう。

また、「有力支持団体の一つ、日本教職員組合の「競争をあおる」といった批判」も、当然の懸念だろう。うがった見方をすれば、日本教職員組合の組織率が30%未満だから「抽出から漏れても参加を希望する学校は増え、21の県で全公立小中学校が参加した」ということが起こっているのだろう。「子供たちの学力の状況を把握したいという学校現場や教育委員会のニーズが、依然高い」とも取れるが、現場の思考停止が懸念される。

「子供たちの学力水準を測り、その変化を追跡して授業や教育内容の改善につなげるには、全員参加方式による詳細な調査を続け、検証することが不可欠」ならば、すべての学年でやるべきだろう。1年毎にどう変化したのかがわからなければ「追跡」などできないと思うのだが。「授業や教育内容の改善につなげ」たければ、抽出をきちんとやればよい。もしそれがダメだというなら、PISAなど無意味だろう。PISA、それに全国体力テスト、ともに抽出方式である。

PISA 全国体力テスト、ともに文部科学省HPの下記URL参照。

全国体力テスト 「平成 22 年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果【概要】」 (http://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2010/12/16/1300085_1.pdf )

「何より抽出方式では、都道府県別の平均正答率しか出せず、市町村別や学校別のデータはわからない。自治体や学校が学力面での位置づけを正確に知ることができないと、検証のしようがない」としても、だから全国でやらなければいけないわけでもない。必要ならば、都道府県なり市町村がやればいいのだ。

東日本大震災の被災地では、学習の遅れが懸念されている。子供たちの学力状況をきめ細かく把握し、教師を手厚く配置するなどの適切な対策が急務」も、全国テストの理由になっていない。教員の人事は、各都道府県・政令指定都市単位で採用されるから。

読売新聞の悪いところは、他のテストが抽出方式でやっているのに、学力テストだけ全員参加にすべき根拠を示せていないところにある。ホンネは競争による学力向上だろうが、宮台真司『宮台教授の就活原論』(太田出版、2011) によると(以下記憶による要約)、PISAで日本より上位であるフィンランドは、グループワークを重視しているゆえ、下位層の人が少ないそうだ。抽出調査でもこのくらいわかるのに(ただし、正しいとは言わない。しかし、グループワーク重視が正しいと知れば、全員参加で個人競争させる必要性が乏しいと思う)、なぜ全員参加にこだわるのだろう?

それとも、自由民主党がただ単に好きなのだろうか? それは勝手だが、バイアスで社説を書いても説得力ゼロだ。