清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

ネトウヨを 小馬鹿にしても 始まらぬ

小学館が発行している「SAPIO」2012年8月22・29日号の特集が興味深い。題して「ネトウヨ亡国論」。

安田浩一さんの『ネットと愛国』(講談社、2012)に詳しいが、朝鮮(韓国・北朝鮮)人(国籍・民族不問)に対する差別的言動や、必要もないのに部落差別の言葉を吐く様に、読んでいて辟易したものだ。だから、特集を組むのは、時宜にかなっている。

しかし、内容は結構問題である。

p15(以下も、ページ数は、「SAPIO」2012年8月22・29日号)からの「リテラシーの低いネトウヨが創りだす『バカの論壇』に大した力はない」を始めとして、ネトウヨを小馬鹿にする内容が目立った。しかし、2011年8月21日に行われたフジテレビデモの後に、フジテレビ(ローカル)で韓流ドラマの放送がゼロになる時があったり(現在「ラブ・レイン」放送中。8月23日からはフジテレビ(ローカル)で韓流ドラマなし。『NHK ウィークリーステラ』(NHKサービスセンター)2012年8月10日号、8月17・24日号参照)、キム・テヒさんが出演していたロート製薬「雪ごこち」のCMが、ロート製薬に対する抗議後になくなったり(「ロートにね 抗議したのが 逮捕だよ」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/53020499.html )参照。なお、断言は出来ず、清高の印象論。なお、まもなくオンエアされる予定の最新のCMキャラクターは、AKB48篠田麻里子さん。ロート製薬HP「雪ごこち(R)」(http://www.yukigokochi.jp/ )参照)と、影響力は重大で(いわゆる脱原発デモよりリターンが大きいように感じる)、「大した力はない」とは言えないだろう(だから特集を組むのだが)。

p24からは、福田充・日本大学教授(専門はメディアと危機管理。『SAPIO』2012年8月22・29日号p24より)の「戦後マスメディアの左翼的閉鎖空間が『抑圧されたネトウヨ』を育て上げた」と大した文章が載っているが、インターネットとどれだけ関係しているかはわからない。『“癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究』(小熊英二/上野陽子、慶応大学出版会、2003)をご覧になればわかるが、『新しい歴史教科書をつくる会』の頃から、北朝鮮や韓国に対して否定的な見解を持つ集団が存在しており、これらがネットに関係あるかがわからない一方、ネトウヨも以前からの保守と言われる言論の流れをくんでいるような気がしてならない(北朝鮮や韓国を否定的に評価する点では同じ)。『SAPIO』の特集のホンネは、俺達はネトウヨとは違うもん、ということのようだが、それでは、ネトウヨを見誤るだけである。『ネットと愛国』を読めばわかるが、ネトウヨの言動は、現在の日本人が何がしか持っている考えだと直視したほうがよい(だから、p11に書かれているような、学歴や年収のデータは、あまり意味がない。『“癒し”のナショナリズム―草の根保守運動の実証研究』に出てくる勉強会の構成員は、収入が低いわけではない)。

最後に蛇足を付け加えると、片山さつきさん(ツイッターアカウントは、@katayama_s)に対する批判は、よくできている。ここは評価する。