「犯罪被害者や裁判員裁判を経験した市民ら」から、典型的なポピュリズム(本エントリー、読売新聞、及び渡邉恒雄さんの定義は、Yahoo!国語辞書「ポピュリズム」(大辞泉による。http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%83%9D%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0&dtype=0&dname=0na&stype=0&pagenum=1&index=17069350 )の3の意味としてよい。少なくとも本エントリーでは3の意味)として問題ない。読売新聞や、主筆の渡邉恒雄さんは、この動きを厳しく批判すべきなのだが、読売新聞を見た限りでは(渡邉恒雄さんの文章は未読のものもかなりある)、厳罰化や死刑について厳しく非難したのを見たことがない。だから、読売新聞的ポピュリズム批判は、ただの駄々こねにすぎない、ニセモノであることは、皆さんご存知だろう。
若干の専門的知識を開陳すれば、児童の権利に関する条約(日本も批准済み。外務省HP「「児童の権利に関する条約」 全文」(2012年8月24日アクセス。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html )第40条には、「締約国は、刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定されたすべての児童が尊厳及び価値についての当該児童の意識を促進させるような方法であって、当該児童が他の者の人権及び基本的自由を尊重することを強化し、かつ、当該児童の年齢を考慮し、更に、当該児童が社会に復帰し及び社会において建設的な役割を担うことがなるべく促進されることを配慮した方法により取り扱われる権利を認める」(以上第1項)とある。
有期刑の引き上げは、「当該児童の年齢を考慮し、更に、当該児童が社会に復帰」する「ことがなるべく促進されることを配慮した方法により取り扱われる権利を認める」という条文の内容からは、望ましくない。何年が適当かはわからないが、少年事件の刑期引き上げは慎重にすべきだという見解が、ポピュリズムに陥らない、妥当な見解としてよい。
それよりも、即座にすべきは、死刑について、犯罪時18歳未満とするのではなく、犯罪時少年と改正することである。日本の場合、成年が年齢20歳(民法第4条)であり、少年が20歳に満たない者(少年法第2条第1項)なので、より少年を保護する法制を採用しているから、矛盾解消になるからである。